弘前りんご_新参者の宝塚日記

転勤で21年も青森県の弘前で暮らした関西人が、関西圏とはいえ、大阪とは違った土地の宝塚に住み、いわば新参者として暮らす中で、見聞きしたこと、思ったことをつれづれに書き綴って行きます。
この小説の主人公は一体誰なんだ。あっ、そうか...._ 異邦人(いりびと)原田マハ 著
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    常盤貴子が、京都老舗の和菓子屋の若主人を演じ、京都人から見た(内側から見た)京都の日常が描かれたドラマ ”京都人の密かな愉しみ” 好きな番組でした。

     

    一方、原田マハ ”異邦人(いりびと)” は、外側から見た京都なのかも。

     

     

    幾重にも折り重ねられたトラップ。絡み合う人間関係。

    美術を巡る小説でありながら、二転三転して幾度も読むものに息を飲ませ、最後にもつれた糸が一気に解けるサスペンスのようでもあります。

    楽園のキャンバス”を読んだ時の興奮が蘇りました。

     

    しかし、今回の舞台は京都。

    タイトルのカッコ内の”いりびと”とは、京都に暮らす人であっても、京都生まれの京都育ちではない人をそう呼ぶそうです。今の時代、誰でも京都に行くこと(観光)は出来て、そこで暮らし始めた人(いりびと)も、それなりに楽しめる街ではあります。

    しかし、そのうち越えられない見えないバリアがあることに気づきます。

    その中に入るには、中から招いて貰う必要があります。もちろん招かれる資格があればですが。

     

    このタイトルはそれ以上の意味が込められているようです。

     

    この小説における中の人とは、なにを置いても美に仕える人でしょう。

    そして異邦人(いりびと)の中から、選ばれ招かれる資格のある人とは....

     

    日々のしがらみの中で、ルールや規範を第一に生きている身からすれば、菜穂の生き方はなんとも羨ましい、いや、妬ましい気持ちにもなります。

    主人公は若い女性二人。一人はもって生まれた審美眼で、新たな才能を見出す才に恵まれた私設美術館の学芸員で副館長。そしてもう一人はまだ無名だけれど、天分をきらめかせる画家。その二人の運命的な出会いから、二人を取り巻く人々の人生がきしみ、崩れてゆきます。

     

    しかし、この小説の本当の主人公は....

    それは各自読み取るべきことでしょう。

     

    *本作品は、2018年 第六回 京都本大賞に選ばれました。

     

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    #原田マハ #異邦人 #いりびと #美に仕える #市井の人々 #京都 #学芸員 #画家 #運命的出会い

     

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    | 弘前りんご | 文学 | 23:53 | comments(0) | trackbacks(0) |
    もっと早くに出会いたかった _ 沢木耕太郎の3冊目の全エッセイ集 ”銀河を渡る” _
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      横浜国立大学を卒業して、銀行に就職が決まったのに、なんと出社初日の信号待ちしている間に、退職することに決めたんだそうです ^^;)

      それがなければ、エッセイスト、沢木耕太郎は誕生しなかった。

       

      沢木耕太郎は、旅とスポーツをテーマにしたエッセイを書き綴ってきた作家ですね。最近はフィクションの作品も発表しているようですが。スポーツならともかく、私も好きな旅なら接点があっても不思議はなかったはずですが、これまでなぜか私の視野に入っていなかった作家です。

       

      では何故今回読もうと思ったか、出会ったかですが、全エッセイ集と銘打ちながら、3冊目って何よと、大阪人としては突っ込まざるを得ないキャッチフレーズに引っかかったからに、ほかなりません ^^;)

       

      そこで調べてみると、これまでに10年毎に、一冊ずつの計2冊、それまで発表したエッセイをまとめて全エッセイ集として出してきたこと。それが三冊目は25年も時間が空いてしまって、これ以上まとめないと散逸してしまうという危機感からまとめたということがわかりました。

       

      沢木耕太郎 全エッセイ ”銀河を渡る” 新潮社

       

      そんなこんなで関わりを持ってしまったので、この三冊目の全エッセイ集 ”銀河を渡る” を読んでみようと密林に注文したというわけです。

      しかし、読んでみて、その文体への親和感が非常に高く、もっと前に読んでおきたかったと、今更ながらにちょっと後悔してしまいました。さりげない、しかし確かな目で見据えた上での的確な表現が、魅力と言えます。その目は一般のエッセイストというより、真のジャーナリストの目、真実を追い求めて飽きない精神がベースにあるのでしょう。

       

      今回のエッセイ集の巻頭の文で、若い頃の回想を綴っているのですが、それが実に印象的でした。

      まだ駆け出しの作者が初めて海外に出てその街のレストランで、言葉が通じないことに戸惑っている時に、偶然近くにいた女性が、彼に的確に、しかし押し付けがましくなく指示、示唆を与えてくれたという場面がでてきました。

      それが彫刻家、宮脇愛子だったことをその後知り、自分もかく有りたいと願ったというのです。

      その宮脇愛子もその昔、シュールレアリスト、ダダイストである彫刻家、画家、写真家のマン・レイと出会い、薫陶を受けていたのですね。

       

      マン・レイ (wikipedia)

       

      なんというか、知性の系譜というか、そういった人と人とのつながりというのが、実に素敵で、羨ましく感じました。

       

      そうそう、彼の代表作の一つに、”キャパの十字架”があります。

      あの戦争写真の金字塔的作品と言われる写真を発表して、一躍報道写真家としてスターの座に躍り出たロバート・キャパ

      しかし、その写真については、以前からいろいろと疑義が呈されてきました。

      沢木耕太郎は、その一つ一つを検証し、世界の注目を浴びたあの作品の真相を、ミステリーの探偵のごとく解き明かしてゆきます。しかし、決してその虚像を糾弾するという姿勢ではなく、祭り上げられてしまって、降りるに降りられなくなったものの悲しみに、実は寄り添うように描いています。

      そんなところにも、沢木耕太郎の真心のようなものを感じざるを得ません。

       

      今回のエッセイ集の表紙に、レオナール藤田の子供の絵(バガボンド)が使われているのも象徴的です。

       

      レオナール・フジタ バガボンド(小さな職人)

       

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      #沢木耕太郎 #エッセイ #旅 #スポーツ #宮脇愛子 #マン・レイ #知性の系譜 #ロバート・キャパ #キャパの十字架 #ミステリー #探偵 #レオナール・フジタ #バガボンド

       

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      | 弘前りんご | 文学 | 23:58 | comments(0) | trackbacks(0) |
      今日10月3日は、万葉学者の犬養孝先生のご命日、そして今年は先生の没後20年
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        雄略天皇の妻問いの歌

        ”籠もよ み籠持ち 掘串もよ み掘串持ち この丘に 菜摘ます児 家聞かな 名告らさね そらみつ 大和の国は おしなべて われこそ居れ しきなべて われこそ座せ われこそは 告らめ 家をも名をも”

        から始まり、

        大伴家持の初雪を寿ぐ歌

        ”新しき 年の始の 初春の 今日降る雪の いや重け吉事”

        で終わる、日本最古の和歌集、万葉集。

        大伴家持が編纂したとされる、全二十巻、4千5百余首からなり、世界に誇れる日本の文化遺産でもあります。

         

        犬養孝先生(1907年4月1日 - 1998年10月3日)は、万葉集の歌の意味は、その歌われた場所に行ってこそ感じ取れるとの信念で、日本中の万葉故地を訪れて、万葉集解釈に新風をもたらした方です。

         

         

        http://kitamahokif.jugem.jp/?day=20130319

        http://kitamahokif.jugem.jp/?eid=2588

         

        一方、大阪大学教授時代から、その旅行に学生を伴って、いわゆる大阪大学万葉旅行会を主催され、そこから何人もの万葉研究者を誕生させられました。

         

        犬養先生行くところ必ず晴れる、という晴れ男でした。

         

        横浜第一中学校の教師時代の教え子の一人、作曲家の黛敏郎さんが司会をしていた”題名のない音楽会”に出演され、朗々と万葉の歌を読まれる姿を見て、大阪大学に入学して(理学部でしたが ^_^)、犬養先生の講義を聞こうと決めていました。しかし、うかつなことに私が阪大に入学したときには、残念ながら既に犬養先生は退官、名誉教授になっておられることをその時は知りませんでした。そのため大学での講義を聞くことは出来ませんでした。

         

        しかし退官後も、万葉旅行会の旅行に、講師として参加されていたので、一緒に万葉故地に行って、また旅行会の委員も務めたので、先生のそばで、生きた講義(お話)を聞くことが出来たことは、私のかけがえのない体験となっています。

         

        家内も、犬養先生が大阪大学退官後に勤められた甲南女子大学のゼミ生だったので、二人共犬養先生の末端の弟子と言えるかと思います ^^;)

         

        奈良白毫寺境内に建つ、犬養先生揮毫の歌碑

        ”高円の 野辺の秋萩 いたずらに 咲きか散るらん 見る人なしに”  笠金村 巻二(二三一)

        志貴皇子(しきのみこ)の亡くなられたときに詠んだ挽歌

         

        来年、関西に戻ったら、また先生の歌碑のある万葉の故地をゆっくり周ってみたいと思っています。

         

         


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        #万葉集 #犬養孝 #大阪大学 #万葉故地 #大阪大学万葉旅行会 #ご命日 #黛敏郎 #題名のない音楽会 #甲南女子大学

         

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        | 弘前りんご | 文学 | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0) |
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        • 津軽麺紀行(174)_ ☆☆(星2つで、にぼし)が北に流れて、ながれぼしに。中華そば ながれぼし(弘前市 宮川)
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        • 今日10月14日は指揮者、レナード・バーンスタインの命日です。指揮者と作曲家の両立に苦悩する。
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        • 今日9月11日は、クラブサン(チェンバロ)の大家、フランソワ・クープラン(大クープラン)の命日。
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        • 演奏会の合間に、夏カレーに惹かれて、イトヨの食堂街へ。オーブン亭(イトーヨーカ堂弘前8F)
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