弘前りんご_新参者の宝塚日記

大阪から転勤で仙台8年、青森県弘前で21年暮らした関西人が、関西圏とはいえ、大阪とは違った土地の宝塚に住み、いわば新参者として暮らす中で、見聞きしたこと、思ったことをつれづれに書き綴って行きます。
持つべきは友? _ 伊福部昭が作曲家になったのは、友人のおかげかも。
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    映画”ゴジラ”(1954年)ポスター

     

    (クラシックに開眼したのは)

    私事で恐縮ですが、中学に入学し、それまで音楽の授業でたまに掛けられるレコードで、モーツァルトやベートーヴェンの曲を、あくびを噛み殺しながら聴くくらいだった私が、クラシック音楽を本格的に(自発的に)聴くようになったきっかけは、ある友人の影響です。

     

    中学一年の中頃、クラスで初めて言葉を交わしたあるクラスメートが、今度の日曜日(土曜はまだ授業があった時代です ^^;)にうちに来ないか(いや、”来い!、来るべきだ” と言われたような記憶が....)と誘われ、なんとなしに断りづらい雰囲気だったので行くことになりました。そういう私の性格(断るのが下手)を見越して声を掛けたのではないかと、後で思いました ^^;)

    なんだかジャイアンとスネ夫みたいな? ^^;)

     

    行ってみると、大きな一戸建ての二階に自分の部屋を持っていて、しかも立派なステレオセットをそこに設置していたのです。長屋住まいだった当時の私には別世界でした。ケーキと紅茶を彼の母親が出してくれて、恐縮しながら食べ、彼のライブラリーのレコードを聴いた(聴かされた)事を鮮明に覚えています。

     

    作曲家は誰が好きかと聞かれても、そもそも自発的に聴いたことがなかったので、答えられるはずもありませんでした。

    ましてや、贔屓の指揮者は?オーケストラは?と聞かれても異次元の話のようで、沈黙せざるを得ませんでした。

     

    しかし、そこで過ごした数時間は、私に強烈なカルチャーショックを与えました。

    それからしばらくして、ステレオセットは当然無理でしたが、簡単なレコードプレーヤーなら貯めたお小遣いで買えるということで、近所の電器屋(最近はこういうお店は無くなりましたよね)で入手し、その友人から借りたレコードを恐る恐る掛け、それからの週末はレコードを聞いて過ごすという、ただでさえインドア派だった私が、完全に引きこもり状態となって行きました ^^;)

    それもこれも、その友人の声がけがあったからですね。

     

    (似たような、しかしもっと高度なエピソード ^^;)

    有名人の逸話にも、友人の一言で人生の方向性が決まったというものがあります。

    それが、今日誕生日の作曲家、伊福部昭です。

     

    伊福部昭(wikipedia)

     

    中学生の頃の伊福部昭は美術に熱中していて、一年先輩の、後の彫刻家 佐藤忠良の美術サークルに入っていました。

    しかし、その後音楽に興味を持ち、ヴァイオリンを独学で習い始めたところ、友人で後の音楽評論家 三浦淳史に、”どうせ音楽をやるなら作曲をやらないでどうする” と言われたのがきっかけで作曲家への道を歩むことに。そうそそのかした三浦本人は作曲家にはなっていませんが ^^;)

     

    ほぼ独学で作曲法を習得し、北海道大学に進学して、大学オーケストラに入団。さらに友人たちとカルテットを組織。

    その頃から本格的に作品を発表し始めます。

    なんとアメリカのコープランドと交流が出来、作品を送ったりしています。

     

    (作曲家として名を上げる)

    卒業後、北海道庁に勤めながら作曲を続け、フランスのコンクール(アレクサンドル・チェレプニン賞)で一位を獲得し、世界的な評価を得ることになります。

    それが”日本狂詩曲”。

     日本狂詩曲

     井上道義指揮、NHK交響楽団

     https://www.youtube.com/watch?v=Pl7Etz_n9VE

     

    同二位が松平頼則で、彼もほぼ独学で作曲家となっていますが、伊福部とともに新作曲派協会を設立しています。

    当時の日本はまだ、ヨーロッパの音楽の輸入、模倣が多かった中、彼の作品のオリジナリティが評価されたと言われています。

     

    戦後、東京音楽学校(現 東京芸術大学音楽学部)の作曲家講師に招聘され、芥川也寸志、黛敏郎、松村禎三、矢代秋雄といったその後の日本を代表する作曲家を数多く育て、彼らに慕われる存在となりました。

     

    しかし、伊福部昭といえば、なんと云っても、映画『ゴジラ』の音楽の作曲家として最も知られていますよね。

     

    映画 ”ゴジラ”

    https://www.youtube.com/watch?v=f_WuEozpFiE (1954年、youtube)

     

    当時40歳で、その後”ビルマの竪琴”、”座頭市”などの映画音楽を手がけ、映画音楽のレベル、評価を著しく上げることとなりました。

    その後も、平成18年に91歳でなくなる直前まで、精力的に作曲活動を続けていました。

     

    最近、聴いて強烈な印象を受けた伊福部昭の作品の演奏がこれです。

     伊福部昭:ピアノとオーケストラのための「リトミカ・オスティナータ」(1961年)

     松田華音(ピアノ)、井上道義指揮、NHK交響楽団(2020.12.5)

     https://www.youtube.com/watch?v=teuCUiimUds

     

    ピアニストの松田華音は、何かが憑依したような鬼気迫る演奏を聴かせてくれました (*^^*)

     

     

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    #伊福部昭 #作曲家 #ゴジラ #友人 #三浦淳史 #リトミカオスティナータ #佐藤忠良 #松平頼則

     

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    | 弘前りんご | 音楽 | 13:05 | comments(0) | - |
    ここのところ、ランチョンセミナーが続いたので、備忘録としてお弁当の写真をアップします ^^;)
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      ここのところ4週続いてランチョンセミナーがありました。

      当然お弁当が出て、それを食べながらお話を聞いて勉強するわけです。

       

      いつも思うのですが、食事をすると、その消化に血液が消化器系に多く行き、脳への血流は相対的に減るので、頭を使う作業には不向きなのではないかと思っていました。

      確かに食後に消化が始まる頃はそうかも知れませんが、食べ始めてすぐではないので、話を聞いて理解している時点ではまだ大丈夫かもしれませんね。正確に調べた(血流を測った)わけではないのでなんともいえませんが、少なくとも印象としてはそうです。

       

      それはさておき、毎回いろんなお弁当が出てきます。以前鰻の蒲焼重が出てきたときはびっくりしました。

       

      今回の四連ちゃんでは、以下のようなお弁当が出ました。

       

      DSC_2067.JPG

       

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      弘前の割烹、仕出しの老舗の味新のもの。揚げ物、刺し身、焼き魚とバラエティに富んだ幕の内です。

       

      次の回は、

       

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      大館の名物弁当、鶏めしのオリジナル豪華版。通常版は下半分の鶏めしがメインで、それに若干のおかずが付く程度ですが、こちらは半分がいろんな惣菜の組み合わせ。なかなか楽しめる内容でした。

       

      そして三回目は、

       

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      これは、どこのお弁当でしたっけ?^^;)

      うっかり記録(写真)を撮るのを忘れてしまいました。
      ごく一般的な幕の内ですね。
      そして、最後は
      IMG_155909894060F.JPG

       

      IMG_155909896751F.JPG

       

      こちらは、黒石の老舗仕出し屋のもの。

      彩りも具材のレベルも少し高めのお弁当ですね。

      味もなかなか良かったです。

       

      学会のランチョンセミナーのお弁当(例えば以下のような)よりは軽めのもので、体には優しいとも言えます。

       

       

       

       

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      #ランチョンセミナー #お弁当 #豪華 #昼には重い 

       

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      | 弘前りんご | グルメ | 12:44 | comments(0) | trackbacks(0) |
      今日5月30日は、オルレアンの乙女、ジャンヌ・ダルクの命日です。
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        Joan_of_Arc_miniature_graded.jpg

        ジャンヌ・ダルク(wikipedia)

         

        英仏百年戦争のさなか、神の啓示を受けたというオルレアン生まれの少女が彗星のごとく現れ、それまで劣勢だったフランス軍に勝利をもたらしました。

         

        Jeanne_d_Arc_(Eugene_Thirion).jpg

        ウジェーヌ・ティリオン:大天使ミカエルの声を聞くジャンヌ・ダルク(wikipedia)

         

        その名はジャンヌ・ダルク。亡くなったときは20歳前。

         

        シャルル7世戴冠式のジャンヌ・ダルク(wikipedia)

         

        しかし、英仏の指導者間の取引によって、一転国家的反逆者とされた彼女は、不服従と異端の疑いで異端審問に掛けられます。

         

        Joan_of_arc_interrogation.jpg

        ポール・ド・ラ・ローシュ: 審問を受けるジャンヌ・ダルク(wikipedia)

         

        そして5月30日火刑台に送られ、その短い一生を終えることとなりました。若者なら、大人って汚いって言うところなんでしょうけど。

         

        Stilke_Hermann_Anton_-_Joan_of_Arcs_Death_at_the_Stake.jpg

        ヘルマン・シュティルケ:火刑台のジャンヌ・ダルク(wikipedia)

         

        その25年後に、ローマ教皇カリストゥス3世の名で開かれた復権裁判で無罪と殉教が認められ、フランスの守護聖人の一人となりました。

         

        そのあまりにも波乱万丈、あまりにも短い生涯に啓示を受けた多くの作家、芸術家が彼女を取り上げた作品を発表しています。

        古くはシェークスピア、フリードリヒ・フォン・シラーらの戯曲、ヴェルディ、チャイコフスキーの歌劇、そしていくつもの映画になっています。

         

        今日はフランスの作曲家、オネゲルのオラトリオ『火刑台上のジャンヌ・ダルク』をお聞きください。

        Arthur Honegger Jeanne Darc au bucher Oratoriya Franciya (2006)

        https://www.youtube.com/watch?v=LPufeG1t1EY

         

        またその生涯を描いた映画はこちらです。

        ヴァージン・ブレイド

         

         

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        #ジャンヌ・ダルク #英仏百年戦争 #救世主 #異端審問 #聖人 #オネゲル #火刑台上のジャンヌ・ダルク 

         

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        | 弘前りんご | 歴史 | 22:21 | comments(0) | trackbacks(0) |
        津軽麺紀行(153)_ なんだかマーボーラーメンが食べたくて、来々軒(弘前市茂森町16)
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          津軽百年食堂の一つ、来々軒。

          移転前の、百石町にあった時の、石のたたきの古いお店の頃からの贔屓です。

           

          DSC_2281.jpg

           

          茂森に移って、こざっぱりしたお店の佇まいになりましたが、味は変わらず懐かしい味を守り続けています。

          しかし、新しいメニューの開拓も結構やっても居ます (*^^*)

           

          さて、このお店で何を食べるか、迷うこと頻りですが、今回は初志貫徹、麻婆ラーメンを頼みました。

          それに餃子。

           

          DSC_2283.jpg

           

          餃子が先に来ました。

          こぶりながら、餡がぎっしりと詰まって、プリプリ感が堪らない、食べごたえのある餃子。

           

          DSC_2284.jpg

           

          それを先に食べようと思ったら、追いかけるようにマーボーラーメンが着丼

           

          DSC_2285.jpg

           

          マーボーラーメン。たっぷり麻婆豆腐が掛かっています。

          麻婆も好き、ラーメンも好きという人のためのもの ^^;)

           

          木綿豆腐に挽き肉。そしてピリ辛の味。といっても激辛好きの人には物足りないかもしれません。

          また、もう少しコクがほしいところでした。

           

           

          麺は通常の太さ。

          コシがあってなかなかいい感じです。スープの絡みもいいですね。

           

          この日は、日中三十度を越す猛暑でしたが、やはりそんな時こそ、汗をかくほどのものを食べるといいでしょう。

           

           

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          #津軽百年食堂 #百石町から茂森へ移転 #麻婆豆腐 #餃子

           

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          | 弘前りんご | グルメ | 22:19 | comments(0) | trackbacks(0) |
          なんと、突発性本態性咖喱欠乏症を発症してしまい、カレーを求めて出掛けました ^^;)(チャントルーズ・弘前市松森町121)
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            突発的にカレー(咖喱)が食べたくなって矢も盾もたまらず、土手町方面に自転車を走らせました。

            着いた先は、松森町にある、南インドカレーのお店の、チャントルーズ。

             

            IMG_155875113903F.jpg

             

            一瞬、手を掛けるのをためらう扉が特徴の正面入口 ^^;)

             

            IMG_155875135134F.jpg

             

            この日のランチメニューは、チキンカレー、キーマカレーの単品か、エビカレーとラッサムチキンのセット。

             

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            まだ食べたことのない、こちらのセットにしました。

             

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            出来てくるまでの間、メニューの裏に書かれた食べ方を熟読 ^^;)しておいてくださいと言われました。

             

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            読み終わって、どのように食べるかをイメージトレーニングしているうちに料理は出てきました。

             

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            大きなターリー皿(お盆)に一式が乗って出てきました。

             

            食べ方は、

            (ターメリック)ライスと豆せんべい以外のカトリに入ったものを、ターリー皿から一旦取り出して、ターメリックライスを皿全体に広げます。その上に二種のカレー(エビカレー、ラッサムチキン)を掛けます。

             

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            好みでスパイスペーストや、副菜の野菜を載せてもいいですね。

            後はターメリックライスとカレーを混ぜながらいただきます。

             

            多くのスパイスがたっぷりと使われたカレーの風味は、口の中を爽快な風が吹くようです。

            そしてプリプリのエビに、カレーをまとったチキンも味わいながら、食べ進めました。

             

            この日は5月での最高気温、30度を超す暑さでしたが、一層辛いものを食べて汗をかくのが気持ちいいですね。

             

             

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            #突発性カレー欠乏症 #松森町 #チャントルーズ #南インドカレー #エビカレー #ラッサムチキン

             

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            しかし、その手稿譜がたどったその後の運命は、数奇としか言いようのないものでした。

            手稿譜を借金の方に取ろうとする債権者、取られるのを防ごうとしたヴィヴァルディの弟。

            修道士会に寄付されたものの、その価値がわからない修道士たちは、それをごみのように扱い、教会の倉庫の奥に放り込でしまい、長い年月の眠りにつきます。

            その後その存在を知った貴族が個人のコレクションとして入手。

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            旅屋とは、故あって自分は旅に出ることが叶わない依頼人に代わって旅をして、本人の代わりに希望の体験や目的を果たして、その旅の記録を依頼者に成果として届けるというもの。それを思い立ったのは偶然の出会いから。

            またタイトルのおかえりは、家に、故郷に戻ったときに掛けられる言葉、”おかえり” と、丘えりこの愛称、おかえりをもじったものです。そしてその言葉を聞きたくて旅に出るのです。

            旅屋の仕事としての旅によって、契約内容を遥かに超える成果(人間関係のもつれを解き、凍てつきを融かす)がもたらされるだけでなく、主人公、そしてそれを取り巻く人々の心までも癒やしてゆきます。

            そして成功するまでは故郷には帰れないと覚悟している主人公が、故郷で待つ母のおかえりという言葉を聞ける日も間もないというところで、小説は幕を閉じます。

            まさにハートウォーミングな小説。読後にじんわりと心があたたまる作品でした。
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