フェルメールは、現存が確認されている作品数が35点と、極めて少なく、それらが世界中に点在するため、一堂に会してみる事は叶わぬことでした。
しかし、今回日本にそのうちの10点(初来日が3点:ワイングラス、赤い帽子の娘、鳥もち女)がやってくることに。
因みに、フェルメールは通称で、本名はヤン・ファン・デル・メール・ファン・デルフト (Jan van der Meer van Delft)。
デルフト(彼が居た街)のヤンさん?
ただし、細かいことを言えば、東京上野の森美術館での展示では9点で、そのうち、”赤い帽子の娘”は会期の途中(12月20日)までの展示。”取り持ち女”は、1月9日から会期終了までとなっています。
また、”恋文”は東京展での展示はなく、大阪市立美術館でのみ展示されることになっています。ちなみに大阪店での展示作品数は6点です。(https://www.vermeer.jp/)
従って、今回来る全作品を見るには、残念ながら都合3回は出かけないといけないのです。しかも東京と大阪に (^_^;)
右上、なぜ9月35日? と一瞬思いましたが、全35作品中、9作品が来ていることを表しているんでした (^_^;)
また日時指定入場制で、チケット購入時に、何日の何時から入場するかを指定してチケット購入する必要がありました。
私は、この日の夕方5時からの入場チケットを購入していたのですが、4時30分に着いた時点で、すでにその時間に入場予定の人の長蛇の列が (^_^;)
写っているのが、これで全体の三分の二くらいです (^_^;)
しかも入れ替え制ではないので、前の時間の入場者がどれだけ残っているか?
これで果たして5時になったらこの人達が全員入れるのかが危惧されました。列の整理をしている人に聞くと、20−30分くらいだろうとのこと。ため息が出ました、なんのための時間指定なんだと。
しかし、入場が5分ほど前から始まり、結局5時15分頃には入るには入れました。
でも、中は激混み (^_^;) 最後のフェルメールの作品が一同に介するフェルメールルームでは、各絵の前に陣取って全く動かいない人の群れが出来ていて、全部を間近に見るのは困難を極めました。
そのせいでというか、そのおかげというべきか、フェルメール以外の、その前後の時代のオランダ絵画の方は、比較的空いていて、じっくりと見ることが出来ました。特にピーテル・デ・ホーホ、ヤン・ステーンなど。
また、ヘラウド・ダウの本を読む老女など、リアリズム絵画を彷彿とさせる、実に興味深い作品でした。
フェルメールの絵のイメージから、当時のオランダ絵画は風俗画(庶民の日常を描いた作品)と思いがちですが、歴史画、静物画、風景画、肖像画などにも優れた作品が存在しました。また他のジャンルに比べて、静物画はヨーロッパでは一段低く見られがちでしたが、少なくともオランダでは事情が異なり、市民に好まれて居たのが分かります。
マルタとマリアの家のキリスト(wikipedia)
フェルメールも歴史画からスタートし、今回も”マルタとマリアの家のキリスト”という、風俗画に転向する前の歴史画が来ています。室内の人物を、光を効果的に当てて、浮き上がらせる手法はこの頃からすでに。
ワイングラス(wikipedia)
今回の作品の中では、”牛乳を注ぐ女”などの代表作も入っていますが(随分前に来日した時、見ました)、私が一番気に入ったのは、日本初公開の一つ ”ワイングラス”。男女二人の心のうちの声が聞こえてきそうな作品です。
フェルメールの風俗画の絵の構成は共通していています。
室内で、外光の入る窓が左側にあり、人物と室内の重要なアイテムを照らし出して、静謐でありながら、劇的な情景を浮かび上がらせています。もちろんこの絵もそうです。