(楽園のキャンバス)
楽園のキャンバスを皆さん、読まれましたか?
それまで学芸員って、美術館、博物館のバックヤードのカビ臭い部屋で、超細かい分類とか、訳の分からん文献調査など、辛気臭い仕事をやっている人たちなどという、今から思えば大変失礼な偏見を持って見ていたのですが、原田マハの”楽園のキャンバス”を読んで目からうろこ。こんなにおもしろい仕事もそうそうないなと思うようになりました。
そういえば、学芸員がキュレーターというおしゃれな名前で呼ばれるようになったのもそのあたりからかと。
(館長をご存知ですか?)
さて、もう一つ質問です。
例えば東京国立博物館の館長さんはどなたか知っていますか?
名物館長というのがスポットライトを浴びるようになって、例えば三菱一号館美術館の館長さんが高橋明也さんであることは、結構美術好きには知られていますが、日本はその点まだまだですね。
MOMA(ニューヨーク近代美術館)の館長は、アメリカでは一般人にとっても有名人の一人です。
さて、原田マハの短編小説集”モダン”は、まさにこのMOMAを舞台にした作品集です。
私にとって、おそらく日本人にとっても、印象深いのは、第一章”クリスティーナの世界”ではないでしょうか。
タイトルは、同名のあのアンドリュー・ワイエスの名作から取ったもの。
下半身麻痺の女性が、草原を這って、我が家に向かって進もうとしている光景を描いたもの。
小説では、2011年3月11日の東日本大震災のときに、福島県立美術館にこの作品が、アンドリュー・ワイエス展のために貸し出されていて、MOMAの委員会が、作品を守るために即回収を決め、MOMAのコーディネーターの職にあった日系女性職員杏子を派遣するというストーリー。
この作品を日本に誘致するために多大な努力を払った現地学芸員伸子と、本意は回収するには及ばないと思っても、上からの命によって福島に向かわざるを得ない杏子の心の交流を描いています。
救いは、杏子が福島のためにワイエスの作品を近い将来、再び貸し出せるようにすると決意するところです。
そしてそれはこの絵の、絶望的な状況にあっても、希望を捨てず前に進もうとする女性の強い意志の力に合い通じるものがあるのではないでしょうか。
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#原田マハ #学芸員 #キュレーター #MOMA #モダン #アンドリュー・ワイエス #クリスティーナの世界 #福島 #2011年3月11日
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