2013.10.31 Thursday
近代ギター奏法の創始者
その長命であった偉大なギタリストは、晩年にはよく次のように冗談めかして、その話を終えたそうです。
” 主よ、私は大罪人です。
私はあなたの栄光には値しません。
ですから、この地上に残して下さい。
主は私の願いをききとどけて下さったようだ。”
私はあなたの栄光には値しません。
ですから、この地上に残して下さい。
主は私の願いをききとどけて下さったようだ。”
そして、75年の長きに及ぶギタリストとしての人生を、世界中への演奏旅行で費やし、94歳という天寿を全うしました。その人の名はアンドレス・セゴビア。
この地球上に行ったことのない大陸は無いと言われるほど、精力的に出かけ、ギターの魅力を伝える伝道師の役割を果たしました。
そして何より、ギター奏法の改革を行い、一台でオーケストラに匹敵すると言われる、多彩な音色と音量を生み出しました。近代チェロ奏法を編み出した、パブロ・カザルスに相通じるところがありますね。
しかし、求導師のように禁欲的だったかというと、さにあらず、
”私は生涯を2つのものに捧げた。生きたギターである女性と、歌う女性であるギターとに。”
その一方で、努力というものに宗教に近い尊敬を持っていました。
晩年に至るまで、真夜中より前に寝たことはなく、
”私の一日の最初の仕事は、寝に行くことだ。”といったとか。
知人の遺品の整理をしていて、セゴビアが亡くなった年に出た、現代ギター増刊”アンドレス・セゴビア”を見つけ、彼に思いをはせた次第です。
youtubeから、彼が演奏するアルベニスの曲”Asturias"をお聞きください。