2013.09.30 Monday
色とりどりの花の色、美を競っているわけではありませんでした。
色鮮やかな花、それは生存戦略の一つとして、受粉を行ってくれる昆虫達に目立つようにしていると、単純に思っていました。
しかし、似て非なる理由があるようです。
そもそも、色鮮やかというのは人間の目にそう見えるだけで、当の昆虫たちにはどう見えているかという視点がそれには欠けています。
昆虫と人間の目の違いは、単眼と複眼という、構造上の違いはさておき、色覚に大きな違いがあります。昆虫は人間より、より短波長側の光まで見えています。
その理由は昆虫の環境への適応という歴史があるのですが、その意味については後述するとして、実際にどのように見えているか?
これら二組の写真は紫外線が見えない場合と、見える場合で、どのように植物が捉えられるかをシミュレーションしたもの。明らかに紫外線が見えるほうが、花がよりコントラスト高く捉えられます。そう、昆虫には人より良く花の在処が見えるのです。
では、なぜ紫外線が見えると花がよく見えるのか?
今度は、植物の生存戦略に関わってきます。
動物のようには動けない植物は、常に太陽から紫外線を浴びることになります。光合成に必要な太陽光ですが、それに含まれる紫外線は細胞の蛋白、脂質、そして核のDNAを傷害します。
そこでそれから守るために、植物が創りだしたもののひとつが、フラボノイドという生体分子。それが紫外線を吸収して、細胞を守るようにしたわけです。
その証拠に高度が上がると紫外線が強くなることに対応して、同じ種の植物の花の色が、より鮮やかになります。
面白いことに、その結果フラボノイドの存在で、植物は紫外帯域を含む色を持つ事になったのです。そこで昆虫はその花をより的確に捉えられるように、紫外線帯域まで見える目を持つようになったと考えられます。
この連鎖、非常に面白いと感じますが、いかがでしょうか?
以上の写真は、テレビ朝日”奇跡の地球物語”より。