(NipponArchives より。 http://www.nipponarchives.jp/ )
何とも心落ち着く光景です。
それはなぜかと考えてみました。
この写真の構成要素である、蔀戸、障子、襖、そして畳、どれも日本人の琴線に触れる
ものばかりということもあるでしょうね。
しかし、この写真の魅力は、そこにさらに実に印象的な蔭があるからだと思います。
畳の上に深い緑の影を作っています。
谷崎潤一郎が”陰影礼賛”の中で書いていましたが、蔭が日本家屋の魅力を更に深いもの
にしているのではないでしょうか。
物理的に仕切りがないところに、蔭がいわば結界を形作ります。
その中に日本人は様々なものを感じ取ります。
無の中に無限の美を見いだすのが、日本人の感性の有り様でしょう。
また、たとえ見えていても見えないことにする、黒子のような存在でもあります。
それが世界に類のない日本人固有の精神世界を形作ってきた要因の1つではないでしょうか。