弘前りんご_新参者の宝塚日記

大阪から転勤で仙台8年、青森県弘前で21年暮らした関西人が、関西圏とはいえ、大阪とは違った土地の宝塚に住み、いわば新参者として暮らす中で、見聞きしたこと、思ったことをつれづれに書き綴って行きます。
大きくなったら
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    小学校などのクラスの文集に見かけるのが”おおきくなったら何になる”というテーマ。
    宇宙飛行士になる、野球選手になる、看護婦さんになるなど職種を指定したものや、
    お金持ちになる、有名人になるなど高いステータスを目指すもの、中にはお嫁さんに
    なるなどつつましく現実的なものまで(最近の婚活ばやりをみると簡単ではないのかも)。
    はてさて、そのうちどれだけ実現したんでしょうか?
    かくいう私は小学校の頃の夢は考古学者になることでした。
    結局今は生命科学の教育研究が生業で、当時の夢は実現が叶いませんでしたが。

    ここに、小学校の時の夢、”大きくなったらベルリンフィルの指揮者になる”という、
    えらく大きく、かつ具体的な夢を昨年、50歳で実現させた人がいます。


    (僕はいかにして指揮者になったか 佐渡 裕 著 新潮文庫)

    この本は今から17年ほど前に出たものなので、佐渡裕さんがコンセール・ラムルー管
    の主席指揮者の時代に書かれ、まだベルリンフィルの定期に登場するまでには至って
    いませんが、これを読むと実に多くの人との出会いが大切であったことがよくわかります。
    そして中でもバーンスタイン、小澤征爾との出会いがことのほか大きかったのでしょう。
    バーンスタインの”Life can be beatiful.”という言葉は、佐渡さんの人生観に深く刻み
    込まれているように感じます。

    しかし、その出会いを結果的に掴んだのはひとえに、佐渡さんの無謀と思える時もある
    ほど、実に前向きな姿勢です。
    ”失敗しても死ぬわけやあらへんし、やってみたれ”の精神でしょうか。
    それと、”音楽は楽しいもんや”をいつも忘れずにいたことです。
    音楽に限らず、なにかの審査に臨むとき、失敗を恐れ、審査員受けすることをしがち
    ですが、佐渡さんは、そんなときでも、楽しむ心を忘れずに事に臨んでゆきました。
    (ここが幸運な人の真骨頂ですが、本人がそれを忘れそうになったとき、そばに気付か
    せてくれる人がいたようですね。)
    オフィシャルに知られた事実だけを見ると、実に幸運にたびたびの恵まれたうらやましい
    人となりますが、その運が向こうからただやってきたのではなく、彼のこの姿勢が呼び
    寄せたものであることがよくわかります。

    そして遂に子供のころからの夢であるベルリンフィルを指揮することを実現させてしまい
    ました。実に示唆に富んだ一つの生きざまだと思います。

    PS: 紹介されるエピソードの中で、バーンスタインの言葉が大阪弁なのには、はまりました。




    | 弘前りんご | 音楽 | 01:00 | comments(0) | trackbacks(0) |
    我が家の手巻き寿司
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      皆さんの掲示板への書き込みに触発された訳ではない(ことはない)ですが、
      我が家のある夜の手巻き寿司の写真を一枚。
      雪に閉ざされた冬の夜は、お店に出かけるより、家で手巻き寿司の方が
      楽ですし。



      鮮魚コーナーに行って、具材に良さそうな魚の切り身などを見かけたら
      (もちろん安いことも重要な条件です)、手巻きと云うことが多いですね。
      そのため、食卓に並ぶネタは日によってマチマチ。
      カルフォルニア巻きではないですが、魚介類以外に、最近はアボガド、
      チーズなんて言うのも並ぶようになりました。
      | 弘前りんご | グルメ | 01:00 | comments(0) | trackbacks(0) |
      身勝手
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        読む本の選択で、基本的に受賞直後など話題の作品はずっと避けるように
        してきました。自分自身の印象、読後感にバイアスが掛からないようにする
        ためですね。偶然出会った本を読んで、非常におもしろいとうれしいですが、
        それがその後受賞したり、メディアに取り上げられて話題になったりすると
        うれしい反面、そうっとしておいてほしいという身勝手な気分になったりもします。


        (たぶらかし 安田依央 集英社)

        この安田依央の小説”たぶらかし”
        表面上はごく普通の日常を描いているのに、何か変。

        そもそも主人公の職業は女優ということになっていますが、演ずるための
        脚本がありません。たとえば実際の葬儀での死者の役であったり、
        訳あって行けない母親の代わりに、その子の授業参観、教師との面談に
        母親として行ったり、新婦の代わりにその新郎と共に親戚にあいさつ回りに
        云ったりと。ようするに演ずる対称がリアルな存在であって、演劇とは真逆
        なわけです。うまく演ずれば演ずるほど、そこになんともいえない、わずか
        だけれど確かにおかしな感覚が生じてきます。

        そしてそのひずみが行きつくところまで行くと、活断層ではありませんが、
        遂に依頼人を含め、彼女を取り巻く人々に大きな変化を引き起こします。
        彼女の役割で繕おうとした虚構が崩れ、人々は受け入れられなかった
        真実と向かい合わざるを得なくなります。
        自分を変えることで、その真実がかならずしも受け入れられないものでは
        ないことを悟り、人々は再生してゆきます。
        そして、かすかながらも未来に希望が見えてきます。

        このタイトルの”たぶらかし”。誰が誰をたぶらかそうとしているのか、
        なかなか深いタイトルだと感じます。

        以前読んだこの本を思い出したのは、4月からこれをもとにしたドラマが
        始まるという記事をよんだからなんですが、さてどんなものになるのか。
        いい意味で原作とは違ったもので観る者をたぶらかしてくれるといいですが。




        | 弘前りんご | 文学 | 01:00 | comments(0) | trackbacks(0) |
        首を長くして待っています。
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          もう雪は十分堪能したので、早く春が来ないかな?


          (2011年春 弘前公園で。 花の密度が違います。)

          いやいっそあの熱気に満ちた夏が早く来ないかと思ってしまいます。
          もっとも、短い夏と秋のすぐ後は、また長い冬が来るんですが

          雪がなければ、大間まで車を飛ばして、こんな三色丼(大間のマグロ、いくら、うに)
          が食べられるし。

          (下北半島大間町 海峡荘 三色まぐろ丼 1,500円)


          (弘前ねぷたの大太鼓 でかい! 上から長いバチで叩きます)


          (弘前ねぷたの五連太鼓 上に乗って叩くのは全て女性。
          さらしを巻いて、とてもいなせです。下では5人の男性が叩いています)


          (弘前ねぷた開始から遅れること二週間、お隣の黒石市では、日本三大流し踊りの
          1つ、黒石よされが14−20日に催されます。もっともその前に黒石ねぷたもあるので、
          まあ8月の黒石は祭り漬けですね。)


          (流し踊りは市中を踊って歩くんですが、その後ろについていって、いわば
          バックミュージックを演奏する山車ですね。)

          しかし、今はとにかく、撮り鉄に行きたし、されど命は惜しいです。
          早く、春でも夏でもいいから来ないかな。

          | 弘前りんご | 日常 | 01:00 | comments(0) | trackbacks(0) |
          シーズン
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            (ヴィヴァルディ 四季 イ・ムジチ フィリップス)

            あまりにも有名な(?)、ヴィヴァルディの四季と云えば、イ・ムジチと言われた、
            その中でも、フェリックス・アーヨが独奏を受け持ったもので、クラシックとしては
            想定外に(^_^;)売れに売れた一連のアルバム(都合6回録音)の2回目、
            ステレオ録音では1枚目のものですね。(一文が長いなあ)

            クラシックなんか普段絶対聞かないという人でも、この曲だけは知っているという
            ぐらいの超有名曲です。(ただ、そういう人が果たして全曲3x4=12楽章全部を
            通して聴いたかどうか、せいぜい春の冒頭の数フレーズしか聞いてない人の方が
            多いでしょう)

            かくいう私もこのアルバムは、その昔買いました。初めてのバロックでした。
            バッハよりヴィヴァルディから先に入りました。
            およそクラシックらしからぬ、ポップ調の曲のように感じた次第です。
            楽器をたっぷりと鳴らす、いわばグラマラスな演奏で、最近のピリオド楽器を使った
            シャープな演奏の対極にあるものでしょう。私は四季に関しては、どちらかといえば、
            こちらのタイプの演奏を好みますが。
            特に冬の二楽章の、暖炉を囲む家族のだんらんを彷彿とさせるところは、この寒い
            冬に聴くと、心が温まります。

            シーズンといえば、我々の業界では3月に学会出張が結構多く、複数の会をはしご
            する方もいます。私もご多分にもれず、3月中旬は京都・大阪に出張です。

            まさか、これが言いたいがためにヴィヴァルディの四季を持ち出した?m(_ _)m
            | 弘前りんご | 日常 | 01:00 | comments(3) | trackbacks(0) |
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            (弘前りんご)

            自身もバロック音楽の研究者であり、演奏家であるサルデッリが書いた、”失われた手稿譜 ー ヴィヴァルディをめぐる物語 ー” では、ヴィヴァルディが亡くなった直後から漂流し始める、ヴィヴァルディが残した膨大な手稿譜が本当の主人公であり、小説の形をとっているものの、そこに書かれたことはほとんどが事実です。

            しかし、その手稿譜がたどったその後の運命は、数奇としか言いようのないものでした。

            手稿譜を借金の方に取ろうとする債権者、取られるのを防ごうとしたヴィヴァルディの弟。

            修道士会に寄付されたものの、その価値がわからない修道士たちは、それをごみのように扱い、教会の倉庫の奥に放り込でしまい、長い年月の眠りにつきます。

            その後その存在を知った貴族が個人のコレクションとして入手。

            研究し、その散逸を防ごうとした研究者と、骨董的価値にのみ注目するファシスト政府との攻防。

            いずれも手に汗握る展開で飽きさせません。

            最大の貢献者の一人、ジェンティーリが追われて大学を去るときの言葉

            ”正しきものは、とこしえに記憶される” が、心に染み入ります。
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            ”旅屋おかえり”は、旅そのものが目的であり、生きがいの、そしてそれを仕事にしてしまった一人の女性の夢、挫折そして再生の物語です。

            旅屋とは、故あって自分は旅に出ることが叶わない依頼人に代わって旅をして、本人の代わりに希望の体験や目的を果たして、その旅の記録を依頼者に成果として届けるというもの。それを思い立ったのは偶然の出会いから。

            またタイトルのおかえりは、家に、故郷に戻ったときに掛けられる言葉、”おかえり” と、丘えりこの愛称、おかえりをもじったものです。そしてその言葉を聞きたくて旅に出るのです。

            旅屋の仕事としての旅によって、契約内容を遥かに超える成果(人間関係のもつれを解き、凍てつきを融かす)がもたらされるだけでなく、主人公、そしてそれを取り巻く人々の心までも癒やしてゆきます。

            そして成功するまでは故郷には帰れないと覚悟している主人公が、故郷で待つ母のおかえりという言葉を聞ける日も間もないというところで、小説は幕を閉じます。

            まさにハートウォーミングな小説。読後にじんわりと心があたたまる作品でした。
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