弘前りんご_新参者の宝塚日記

大阪から転勤で仙台8年、青森県弘前で21年暮らした関西人が、関西圏とはいえ、大阪とは違った土地の宝塚に住み、いわば新参者として暮らす中で、見聞きしたこと、思ったことをつれづれに書き綴って行きます。
欠くべからざる _ ハイドンの偉大さ
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    (忘れてはいけない人)

    何かを探して夢中で歩いていて、ふと立ち止まって足元をみると可憐に咲く清楚な花。しかし、しっかりと大地に根ざしている。眺めていると、探しているもののことを忘れて、ひと時心が休まる思いがする。

    私にとって、F.J. ハイドンの作品はそんな存在です。

     

    フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(Franz Joseph Haydn, 1732年3月31日 ニーダーエスターライヒ州ローラウ(英語版) - 1809年5月31日 ウィーン, wikipedia)

     

     注意深く聞くと、匠の技が隠されていることに気づくけれど、決してそれを見せびらかすことがありません。しかし、聴く人を楽しませようという意図は確実に伝わってきます。

     

    (立志伝中の人)
    車大工の息子から、晩年はヨーロッパ中から尊敬をうける人気作曲家になった彼は、恐らく味わったであろう多くの苦労が昇華されていて、作品の中に毒として残っていません。音楽としての純粋な結晶として生み出された稀有な存在といえます。

     例えば交響曲や弦楽四重奏の分野では、同時代のモーツァルトやベートヴェンがはるか遠くまで行ってしまい、音楽史上でそれらの形式を確立した、いわば父としてのみ触れられる存在というのが、私が受けた学校教育での彼の位置づけでした。
    しかし、今はそんな紋切り型の解説をした人がいったい何を見、何を聴いていたのかと思ってしまいます。

     

     アルゲリッチが弾く、ピアノ協奏曲ニ長調、グールドが弾くピアノソナタ集、アダム・フィッシャーあるいはミンコフスキーの指揮するハイドン交響曲集、あるものは愉悦に溢れ、あるものは深い哀歓に満ち、いずれも聴く者の心をつかんで離さない作品群です。


    モーツァルト、ベートーヴェンのいないクラシックは考えられないでしょう。しかし、ハイドンがいないクラシックも、何か大事なものが欠けた気がするのですが。

     

    ハイドン ピアノ協奏曲 11番 ニ長調 アルゲリッチ(P)

    https://www.youtube.com/watch?v=nqnJFUUakAM

     

     


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    #ハイドン #欠くべからざる存在 #再評価 #心に残る #創意工夫 #立志伝中の人

     

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      弘前りんごの"北のまほろば掲示板

    | 弘前りんご | 音楽 | 13:17 | comments(0) | trackbacks(0) |
    町おこし?
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      急に夏泊半島からの海が見たくなって、陸奥湾の最奥の町平内町に行ってきました。
      偶然ですが、夏泊半島の付け根にあたる所にある、夜越山森林公園で
      ”ほたての祭典2010” というのをやっていたので、覗いてきました。
      折悪しく朝から雨がしとしとと降る中、会場の売店を冷やかし、舞台で行われて
      いたイベントを写真に撮りました。

      出ているものは当然ながらホタテずくし。ストレートに焼いたものから、ホタテのラーメン、
      ホタテのカレー、ホタテのコロッケ、ホタテのたこ焼き(矛盾するようですが)までありました。
      何より驚いたのが、どれも安いこと。ホタテの貝焼き(小ぶりながら殻付きホタテ3−4個)が
      100円。その下の写真のホタテのバター焼き(ホタテが7-10個入り)が200円
      産地とは言え、採算度外視の値段設定。
      それも年に1度のお祭りで、かつホタテの市場の活性化を願う気持ちからなのでしょう。
      開会式では町長、漁協の会長、国会議員まで来て、ホタテ漁業を取り巻く経済・社会
      環境の厳しさを口々に訴えていました。
      今夏の異常気象はホタテの生育にも大きな影響があったようです。
      産業はほとんどがホタテ関係、ホタテが転ぶと町まで転んでしまいかねない、それに対する
      危機感のようなものが感じられました。しかし、地元はともかく、外から訪れた客は
      そんなスピーチを聞いているのかいないのか、ホタテ釣り競争のコーナーに長蛇をなして、
      自分の順番がいつ来るのかが最大の関心事のようでした。

      やはり、人は無くなってしまうまで、事の重大さに気付かないのは、ここでも同じような
      気がしました。







      | 弘前りんご | 紀行 | 17:03 | comments(0) | trackbacks(0) |
      究極の二択?
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        証言・フルトヴェングラーかカラヤンか  川口マーン恵美著


        ありきたりの音楽トリビア本かと思いつつ、タイトルに多少惹かれて手に取ったのですが、少し読み始めると止まらなくなり、あわててレジに行って購入しました。

        聞く方も聞かれる方も了解済みの予定調和的なインタビューが多い中、予想外の展開が実に面白く、最後まで一気に読んでしまいました。

        ベルリンフィルというこの世に二つとないといわれる高性能なオーケストラを乗りこなした2人のマエストロ。しかし全くと言っていいほど音楽性が異なる二人。その二人をまじかに見てきた楽団員の貴重な証言だけでも面白いのですが、予想とは異なる証言がいくつも引き出されていく過程は実にエキサイティングでさえあります。著者のインタビュアーとしての高い能力に感心させられました。

        なかでも特に意外だったのは、あれだけ引き継ぎをことごとく阻止されたにもかかわらず、カラヤンがフルトヴェングラーの後を引き継いだ直後の数年間はオーケストラの奏法等に手を加えなかったというくだりです。それに対する評価は予想される通り、カラヤン派とアンチカラヤン派で180度違うんですが、恐らくカラヤンは、アンチカラヤン派が説くタダ乗りといったものではなく、フルトヴェングラーの指揮者としての才能を十分に認めていたんじゃないかと思います。数年たって、十分にオケのメンバーの心を掌握して初めて自身の響きへの改革を始めたと思われます。

        いずれにしても、クラシック音楽関連で久しぶりに面白い本に出会えました。

        証言・フルトヴェングラーかカラヤンか (新潮選書)
        | 弘前りんご | 音楽 | 06:53 | comments(0) | trackbacks(0) |
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        (弘前りんご)

        自身もバロック音楽の研究者であり、演奏家であるサルデッリが書いた、”失われた手稿譜 ー ヴィヴァルディをめぐる物語 ー” では、ヴィヴァルディが亡くなった直後から漂流し始める、ヴィヴァルディが残した膨大な手稿譜が本当の主人公であり、小説の形をとっているものの、そこに書かれたことはほとんどが事実です。

        しかし、その手稿譜がたどったその後の運命は、数奇としか言いようのないものでした。

        手稿譜を借金の方に取ろうとする債権者、取られるのを防ごうとしたヴィヴァルディの弟。

        修道士会に寄付されたものの、その価値がわからない修道士たちは、それをごみのように扱い、教会の倉庫の奥に放り込でしまい、長い年月の眠りにつきます。

        その後その存在を知った貴族が個人のコレクションとして入手。

        研究し、その散逸を防ごうとした研究者と、骨董的価値にのみ注目するファシスト政府との攻防。

        いずれも手に汗握る展開で飽きさせません。

        最大の貢献者の一人、ジェンティーリが追われて大学を去るときの言葉

        ”正しきものは、とこしえに記憶される” が、心に染み入ります。
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        旅屋の仕事としての旅によって、契約内容を遥かに超える成果(人間関係のもつれを解き、凍てつきを融かす)がもたらされるだけでなく、主人公、そしてそれを取り巻く人々の心までも癒やしてゆきます。

        そして成功するまでは故郷には帰れないと覚悟している主人公が、故郷で待つ母のおかえりという言葉を聞ける日も間もないというところで、小説は幕を閉じます。

        まさにハートウォーミングな小説。読後にじんわりと心があたたまる作品でした。
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