弘前りんご_新参者の宝塚日記

大阪から転勤で仙台8年、青森県弘前で21年暮らした関西人が、関西圏とはいえ、大阪とは違った土地の宝塚に住み、いわば新参者として暮らす中で、見聞きしたこと、思ったことをつれづれに書き綴って行きます。
カラヤンルネッサンス
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     最近、カラヤンのCD、DVDを立て続けに視聴きしている。
    それもライブ版を中心に。

    クラシック入門者の例に漏れず、やはりクラシックを聴き始めた若い頃にも
    カラヤンばかりを聞いていた。なにせ大手はともかく町の小さなレコード店に
    行けば、あるのはカラヤンばかり。帝王と冠された帯を見て、権威ある指揮者と
    すり込まれて聞いていた。しかし、しばらくして、レコード批評を読むように
    なって、カラヤンの録音に対して批判的なものが多いことに気づく。厚ぼったい
    オケの音、整ってはいるが冷たい演奏、見た目重視の映像などなど。
    そしてやがてそこから離れてそのほかのマイナーな、しかし個性的な指揮者に
    移っていった。これも一般のクラシックファンの多くがたどる経路といえる。

    では、なぜ最近カラヤンを聴き直すようになったのか?なぜライブ版中心なのか?
    ひとつには昨年カラヤン生誕100年ということで、多くの音源が市場に出てきた
    事と無関係ではない。これまでカラヤンはスタジオ録音で、傷のない磨き上げた演奏を
    録音したものしか、出すことを認めなかった事と関係する。ところが最近出てくる
    新たなものには、ライブ版が多い。そしてそこに視る(聞く)カラヤンはこれまでの
    演奏とは全く違う、熱い演奏を展開していることに気づいた。少々の破綻には
    目もくれず、聴衆を熱狂に巻き込むような、これまでレコードで聞き慣れたカラヤン
    とは別人である。そして文句なしに面白い。もちろんカラヤンだし、ベルリン、あるいは
    ウィーンの達人オケ相手であるから、演奏はとてつもなくうまい。いままでなにを
    聞いていたんだろうと思わざるを得ない。

    ということで、今日もamazon.ukで見つけたブルックナーの8,9番、テ・デウムの
    DVDをポチッとしてしまった。





    | 弘前りんご | 音楽 | 14:06 | comments(0) | trackbacks(0) |
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    (弘前りんご)

    自身もバロック音楽の研究者であり、演奏家であるサルデッリが書いた、”失われた手稿譜 ー ヴィヴァルディをめぐる物語 ー” では、ヴィヴァルディが亡くなった直後から漂流し始める、ヴィヴァルディが残した膨大な手稿譜が本当の主人公であり、小説の形をとっているものの、そこに書かれたことはほとんどが事実です。

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    手稿譜を借金の方に取ろうとする債権者、取られるのを防ごうとしたヴィヴァルディの弟。

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    研究し、その散逸を防ごうとした研究者と、骨董的価値にのみ注目するファシスト政府との攻防。

    いずれも手に汗握る展開で飽きさせません。

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    そして成功するまでは故郷には帰れないと覚悟している主人公が、故郷で待つ母のおかえりという言葉を聞ける日も間もないというところで、小説は幕を閉じます。

    まさにハートウォーミングな小説。読後にじんわりと心があたたまる作品でした。
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