弘前りんごの北のまほろば

司馬遼太郎の”街道をゆく”のタイトル”北のまほろば”に魅せられて、本州最北端の県にやってきました。日々見聞きしたこと、感じたこと、考えたことなどをつれづれなるままに綴ります。写真、音楽、そして本好き(万葉集)なアラ還です。
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白い文明古代ギリシャという常識が覆った_知られざる大英博物館(2)
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    CG技術が発展し、いろんな美術品、建築を思いのままに3Dでスクリーン上に再現できるようになりました。何年か前に、その技術を使って奈良東大寺の金堂(大仏殿)の内部を、資料や様々な研究成果を基に、建立当時そのままに甦らせたものを見ました。
    しかし、その時驚かされたのは実はその技術ではなく、再現されたものが、現在のいわばセピア調にくすんだものとは天地の差もあるほど、原色で彩色された実に鮮やかなものだったことです。

    建物だけではありません。天平仏のことごとくが、赤や青や緑と言った原色で彩られていたことにもその時、カルチャーショックを受けたものです。


    (興福寺阿修羅像 復元図 講談社 日本の仏像)


    (現実の阿修羅像 wikipedia)

    ところが、今度は大英博物館の研究で、あの古代ギリシャ白亜の神殿と思われていた建物壁面が、奈良の大仏殿宜しく、非常にカラフルに才色されていたと云うではありませんか。


    (当時の姿に再現されたパルテノン宮殿 NHK BS プレミアム ”知られざる大英博物館” HPより)


    (同上)

    また興味深かったのは、ギリシャ文明の開花が、すでに繁栄していたエジプトやメソポタミアの影響にあったことです。実はギリシャは紀元前7世紀までは暗黒の時代と呼ばれ、大変貧しい国のためエジプトなどに傭兵として出稼ぎに行っていました。そこで巨大な建造物、カラフルな彩色、それらから強烈な印象を受けて帰った彼らが、その後のギリシャ文明を作り上げていったのです。

    ではなぜそれほどカラフルだった古代ギリシャが、白い文明と呼ばれるに至ったか?
    日本の仏教建築や仏像は自然経過で色が落ちていったのですが、古代ギリシャを取り巻く事情はかなり異なりました。大理石に施された彩色はやはり自然経過でかなり落ちて行ったのですが、19世紀までは白い文明とはとらえられておらず、彩色が施されていたことは知られていました。しかし、産業革命を迎えたイギリスをはじめとするヨーロッパで、ギリシャを自らのルーツと考え、それが優れた文明であるはずだという思い入れが強くなり、歴史観までゆがめられてゆくことになったのです。

    奇しくも、ポンペイ遺跡の発見に端を発して、古代芸術のブームが起こります。そして当時の高名な美術史家ヨハン・ヴィンケルマンが、そのもととなった古代ギリシャの彫刻に強烈に魅せられ、人類が到達した最高の美であるとし、さらに極端に理想化して、その純粋さを示すものとして、白い文明であると断じたのです。それが当時の時代背景の下に人々に受け入れられ、確立していった、すなわち歴史が歪められていったようです。

    それを象徴するスキャンダルが、大英博物館のエルギン・マーブル事件です。当時の大スポンサーであった、ジョセフ・デュヴィーン卿の指示で、パルテノン宮殿の壁面を飾っていた彫刻(エルギン・マーブル)を洗浄(色を削り落とした)したというのです。ここだけではなくヨーロッパの各地でも、わざと色を落とすことが行われていたようです。このようにして古代ギリシャは白い文明であるというイメージが作り上げられて行きました。

    大英博物館にこのような影の歴史があったということにも衝撃を受けましたが、それを情報公開し、同じ過ちを繰り返さないようにしたという関係者の英断には敬意を表したいと思います。

    | 弘前りんご | 美術 | 00:01 | comments(2) | trackbacks(0) |
    大阪を離れてから、興福寺から少し足が遠のいていますね。最後に国宝館に入ったのは何年前だろう。斑鳩の里と共にまた訪れたい場所の一つです。
    山田寺の仏頭、興福寺が自分とこの堂塔が焼け落ちたので、山田寺の本尊を強奪したという因縁がありましたね。(犯罪の逃れられない証拠!)その後の火災で頭部が焼け残ったと言う、何とも不運な仏様です。表情はそんなこと知ったことかという大らかなお顔ですが。
    | 弘前りんご | 2012/07/10 1:39 PM |
    阿修羅くんのいるところまではドアtoドアで1時間半くらいかな。
    国宝館だけだと600円で見れたと思います。
    明治の初めころの写真では、腕が半分くらいはもげた状態でみすぼらしい姿でしたが、そのご修復されたようですね。
    阿修羅くんもいいですが、半分焼けた山田寺の仏頭が残されています。
    この美はなにものも代えがたい高貴な雰囲気をたたえています。
    時間があれば、ぜひどうぞ。
    | 我太呂 | 2012/07/10 6:17 AM |









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