今秋の引っ越しまでにはまだ随分と時間があるんですが、時間があるときにと、ちょっとずつ荷物を整理をしています。
しかし、思わぬものを見つけては見入ってしまって、片付けがなかなか捗らないってことありますよね、これが (^_^;)
今日はそんな感じで、久しぶりに再会した本について。
出版業界の不況が取りざたされる昨今。書店も廃業するところも増えてきています。
ちょうど、弘前の紀伊国屋書店が閉店するという情報も入ってきました (^_^;)
さて、そんななか、印刷された本を手にして読むより、タブレットやスマホで、読む時代になってきています。
そうなると、本はバーチャルな存在になり、装丁、活字に価値を見出すことは無くなって行くのでしょうか。
しかし、本自体が芸術品と成り得た幸せな時代がありました。
嵯峨本、伊勢物語(wikipedia)
戦国の世が終わり、江戸時代が始まるころ、角倉素庵が発案し、琳派の始祖の二人、能書家本阿弥光悦の版下、俵屋宗達の壮麗な装丁からなる、いわゆる嵯峨本。伊勢物語や徒然草などが出版されました。
今回片付け作業の中で見つけたこの小説 ”嵯峨野明月記”は、嵯峨本を出版するに至る三者の、生い立ちの回想が彼ら自身の口から語られ、それがやがて三者の出会い、そして嵯峨本の出版に至る経緯を坦々と語られる形を取っています。
初めて読んだのは30年前。ちょうど琳派の系譜に興味を持ち、俵屋宗達、尾形光琳の作品に心惹かれ始めた頃です。
しかし、その時には気づかなかった(気づけなかった)のですが、辻邦生のこの文章の何と美しく、力強いことか。扱う最高の作品にふさわしい、最上の日本語の語り口であることに、今になって気づきました。
決して奇をてらったような言葉を用いることなく、しかし的確にしかも含みを持たせた言葉のリズムに、魅了されてしまいました。最近の小説では、ストーリーの面白さを感じる作品はあっても、その語り口に心惹かれることはついぞありませんでした。
改めて、日本語というのは美しいと感じました。
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