弘前りんご_新参者の宝塚日記

転勤で21年も青森県の弘前で暮らした関西人が、関西圏とはいえ、大阪とは違った土地の宝塚に住み、いわば新参者として暮らす中で、見聞きしたこと、思ったことをつれづれに書き綴って行きます。
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おかえり、という言葉を聞きたくて私は旅に出る_原田マハ『旅屋おかえり』
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    皆さん、旅の目的はなんですか?

    出張? 観光? 傷心を癒すため?あるいは何かから逃げるため? (^_^;)

    人それぞれ、そして事情によりけりでしょうね。

    でも、この原田マハの小説 ”旅屋おかえり” の主人公は違います。

    旅そのものが目的であり、生きがいの、そしてそれを仕事にしてしまった一人の女性の夢、挫折そして再生の物語です。

     

     *そうそう、オープニングに、弘南鉄道、黒石、つゆ焼きそばが出てきたのには、ちょっとびっくり (^_^;)

     

    原田マハ ”旅屋おかえり” 集英社

     

    北海道の礼文島で高校まで育った主人公、丘えりこは、高校の東京への修学旅行でスカウトされ、アイドルを目指します。

    親兄弟や島の人々の期待を担って。そして成功して、故郷に錦を飾る日を夢見て。

     

    しかし、現実は厳しく、本人曰く、才能にも運にも恵まれないため、アイドルとして脚光を浴びること無く、十数年の時は過ぎてしまいました。今は、全国を旅する旅人として出演するテレビ番組のみで生活する日々。

    そして、その番組も不運な出来事から打ち切りに。

    そんな状況で、改めて自分が旅そのものが好きであることに気づき、それを活かせる仕事の形として、前代未聞の旅屋というものを始めます。

     

    旅屋とは、故あって自分は旅に出ることが叶わない依頼人に代わって旅をして、本人の代わりに希望の体験や目的を果たして、その旅の記録を依頼者に成果として届けるというもの。それを思い立ったのは偶然の出会いから。

    またタイトルのおかえりは、家に、故郷に戻ったときに掛けられる言葉、”おかえり” と、丘えりこの愛称、おかえりをもじったものです。

     

    その旅によって、契約内容を遥かに超える成果(人間関係のもつれを解き、凍てつきを融かす)がもたらされるだけでなく、主人公、そしてそれを取り巻く人々の心までも癒やしてゆきます。

    そして成功するまでは故郷には帰れないという主人公が、故郷で待つ母のおかえりという言葉を聞ける日も間もないというところで、小説は幕を閉じます。

     

    主人公はもちろんの事、彼女を取り巻く、キャラが立っていて、また愛すべき人たちがとても魅力的だということにも触れておくべきでしょう。彼女をスカウトした、そして彼女が唯一の所属タレントである事務所の社長。見かけは強面ながら、情に熱く、ちゃらんぽらんに見えて、おかえりをしっかりとサポートしています。そんな人達に支えられて、主人公は挫折のあとに再生への道を自ら見出します。

     

    さて、原田マハの作品は、初期の ”楽園のカンヴァス”に出会って以後、その美術にまつわる、“暗幕のゲルニカ”、“リーチ先生”、“たゆたえども沈ます”、”ジベルニーの食卓”、“モダン”などなどを次々と読んで魅了されて来ましたが、実は原田マハの小説には、それとは違うジャンルの作品群があります。

    たとえば、“本日はお日柄もよく” はスピーチライターと言う仕事に情熱を燃やす女性の奮闘の物語。

    おなじ人がこうもタッチを変えてかけるものかと感心してしまうのですが。

    “旅屋おかえり”もそのひとつでしょう。

    まさにハートウォーミングな小説。読後にじんわりと心があたたまる作品でした。

    原田マハのこれまでのブログ記事

    モダン

    たゆたえども沈まず

    サロメ

    ジヴェルニーの食卓

    リーチ先生

     

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    | 弘前りんご | 文学 | 06:20 | comments(0) | trackbacks(0) |









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