弘前りんご_新参者の宝塚日記

大阪から転勤で仙台8年、青森県弘前で21年暮らした関西人が、関西圏とはいえ、大阪とは違った土地の宝塚に住み、いわば新参者として暮らす中で、見聞きしたこと、思ったことをつれづれに書き綴って行きます。
コンサートからドロップアウトしたピアニスト? 今日10月4日は、グレン・グールドの命日
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    (グレン・グールドというピアニスト)

    今日10月4日は、グレン・グールドの命日です。36年前に惜しくも50歳の若さでこの世を去りました。

     

    (1932年9月25日 - 1982年10月4日)

     

    (コンサートをドロップアウトしたピアニスト)

     確かに華々しいデビュー後、そのキャリアの初期に、ライブ演奏(コンサート活動)から一切手を引いたことは事実です。その後はもっぱらスタジオ録音したものを編集(口の悪い連中の言葉を借りれば音符を切り貼り)して、それを発表しました。

     

     問題は、なぜそのようなことをしたのか。そしてそのような手を加えたものに果たして価値があるのかどうかです。演奏の技術的な難点を隠すため、難しいパッセージを一度で弾き切るのが難しいところを何度も録音して、一番良いものを取り出してつなぎ合わせ(切り貼りして)、その難点をカバーしていると、まことしやかに語られることもありました。確かに著名な演奏家のコンサートを聞きにゆけば、CDではあれだけ完璧な演奏をしていたのに、けっこう実演ではポロポロとミスが散見されることがあります。

     

     しかし、ドロップアウトする前のコンサート活動のCD(ライブ録音)をいくつも聞くにつけ、その演奏技術の高さは、少なくともデビュー当時は誰もが認めるところです。ドロップアウトの理由が、演奏技術の欠陥を隠すためとは到底考えられません。しかも、聴くものを魅了し、技術的にも非常に高く、かつカリスマ性もあったからです。

     

    (なぜスタジオ録音にこだわったのか)

     では、なぜそんな彼が、フランケンシュタインよろしく、つぎはぎだらけの音楽にしたものを、我々はありがたがっているのだろうか。

     グールドは、演奏者(ピアニスト)である前に、表現者(芸術家)でありたいと願っていたらしいということが重要な鍵です。表現したいものがまずあって、それをまずは子供の頃から慣れ親しんだ身近なピアノに託して表そうとしたけれど、そうするにはピアノはあまりに制約が多いと感じるようになっていったようです。しかし、デビュー当時までそれ以外にすべがなかった。その制約の中で心(頭)の中にある表現したいものに少しでも近づけるためには、自ら歌い(うなり)、腕を振って指揮の様な動きまでしたと、自身ピアニストで、その生理をよく知る青柳いずみこさんは、語っていました。(グレン・グールド −未来のピアニストー  青柳いずみこ著 筑摩書房)

     

     

    (新たな創造者として)

     また録音したものをあくまで素材として、その中からピックアップしたものを、新たな創意によって配置してゆくことが、新たな作品を生み出す行為になると気づいたのではないでしょうか。そしてその行為により、自分の理想に近いものを作品として世に問うたというのが、真実ではないかとも彼女は言っています。画家でも作家でも推敲し、リライトするのは普通ですし。

     

     もちろんそのような新たな試みがすべて成功したわけでありませんが、芸術家ならばいつも新しい表現に挑み、その多くの失敗の中から画期的な表現をつかみ取るわけです。本質が演奏家である前に、まず芸術家であると自負したグールドが、そのような行動を取ったとしてもなんの不思議もないと言えます。

     

     なによりも一回限りの、その場の状況(会場や用意されたピアノのコンディション、観客の不躾な態度(せきや物音))に大いに表現の完成度が左右される状況に我慢できなかったことは十分に理解できます。しかし、もっと大きな理由は、さまざまなテイク(録音)を素材にして、新たな作品を作り上げたいという、いわば芸術家の性が、コンサートからドロップアウトさせたということが、事の真相ではないでしょうか。

     

    (世の中の評価は?)

     そんな彼の行為は、当時は奇異の目で見られ、ピアニストにあるまじきと受け止められました。しかし、今のミュージシャンは、自分で録音、編集し、ネットで配信する時代になっています。彼はいわば50年も時代を先取りしていたといえるのではないか。そういう意味で早く生まれ過ぎたピアニストであったともいえます。

     現代にグールドが生まれていたら、悩むこと無くより一層その力を発揮できたのではないかと想像してみたくもなります。

     

     


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    #グレン・グールド #ピアニにスト #10月4日 #命日 #コンサート #ドロップアウト #スタジオ録音 #編集 #芸術家 #演奏家 #創造行為 #素材としての演奏

     

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    | 弘前りんご | 音楽 | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0) |
    気になるお店シリーズ(16)_ 移転の多いラーメン店 (^_^;) _ R camp(弘前市和泉2-18-1)
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      タイトル、なんだか宮沢賢治の童話 ”注文の多い料理店”のパクリのようですね。

      入っても取って食べられることはありませんので、ご安心を (^o^)

       

       

      それはともかく、このお店、R Campは、私が知っている限り3回は移転しています。

      しかも、現在のお店に移る前の店舗は確か1年ほどしかいなかったような。

      でも、確かな味は多くの固定客を生み、彼らは移転しても、どこまでも追いかけてゆく (^_^;)

      その彼らには、私も入っているんですが。

       

       

      昼の営業はラーメン専門。夜になると沖縄料理などと共に、お酒も出す店になります。もちろんラーメンも出しますが。

      しかし、そのラーメンがなんとも魅力的です。

       

       

      このお店は、弘前における創作ラーメンのパイオニア的存在ですね。

      鶏白湯ラーメンから始まり、SAKURAというエビの旨味が詰まったスープのラーメン、そして最近はアサリのだしをプラスした、その名もASARIラーメンと、力の入った新メニューをゆっくりとですが、出してきています。

       

      実は、このASARIラーメンだけはまだ食べていなかったので、この日はこれを目当てにやってきました。

      ところが、カウンターについて眼の前のメニューを観ると、

       

       

      なになに?好評につき延長?

      期間限定の魅惑の4文字が頭の中を煌めきました。

      しかも、その期間は本当なら終わっていたのに、私のために延長して待っていてくれた (^_^;)

       

      しかも、”少しビターな大人の鶏白湯”

       

      これまでの鶏白湯は子供向けなのか! 

       

      そこまで言われては、大人の私としては、そして待っていてくれたのなら、こちらを食べるしかあるまいと、あっさりこちらに変更し、注文してしまいました。

      子供向けには用はないのだ!

      グランドメニューに入っているASARIは、いつでも食べられるし。

      どこまでも自己中な大人であった ^^;)

       

       

      満を持して出てきたのが、こちら。

      スープが今までになく黒い。これが大人のテイストなのか。

      麺はストレートな中太麺。(博多の細麺も選べるようですが)

      トッピングとして、チャーシューは、ローストポークのような1cmはあるかと思われる厚みと香ばしさが伴った、存在感のあるもの。鶏のすり身団子。そして煮玉子と白髪ネギに海苔。

       

      しかしそれらは他のラーメンにも載ってきたもの。

      それよりなにより、スープ。鯛、トビウオ、マー油をブレンドしてあり、確かにその精悍な色にマッチしたしっかりとした味。

      決して辛いわけではないけれど、キリッとした味わいではあります。

       

       

      おかげで、久しぶりの完つゆをやってしまいました。人間ドックも済んだことだし (おいおい、^_^;)

      ごちそうさまでした。

       

      店主にお聞きすると、10月一杯はこれを出す予定だとか。

      気になる方は是非今月中にお訪ねください。

       

       

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      #R camp #移転 #ラーメン #期間限定 #期間延長 #大人のビター #鶏白湯 #鯛 #トビウオ #マー油 #SAKURA #ASARI 

       

       

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      | 弘前りんご | グルメ | 23:59 | comments(0) | trackbacks(0) |
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      そして成功するまでは故郷には帰れないと覚悟している主人公が、故郷で待つ母のおかえりという言葉を聞ける日も間もないというところで、小説は幕を閉じます。

      まさにハートウォーミングな小説。読後にじんわりと心があたたまる作品でした。
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