弘前りんご_新参者の宝塚日記

大阪から転勤で仙台8年、青森県弘前で21年暮らした関西人が、関西圏とはいえ、大阪とは違った土地の宝塚に住み、いわば新参者として暮らす中で、見聞きしたこと、思ったことをつれづれに書き綴って行きます。
ゲーテの詩に触発されて書かれた歌曲"魔王"なんですが ^^;)
0

    (ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ、Johann Wolfgang von Goethe)

     

    ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749年8月28日 - 1832年3月22日、wikipedia)

     

    ゲーテは、ドイツを代表する文豪ですね。文豪と呼ばれるだけあって、詩人、劇作家、小説家、自然科学者(色彩論、形態学、生物学、地質学、自然哲学、汎神論)、政治家、法律家という、言葉を使う様々な分野で多彩な才能を発揮しました。

     

    そして、小説『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』、叙事詩『ヘルマンとドロテーア』、詩劇『ファウスト』など広い分野で重要な作品を残し、その後の芸術家に多大な影響を残しました。

     

    (魔王)

    そんな彼の詩のひとつをもとにシューベルトが書いた歌曲が、あの名曲"魔王"です。

    あらすじは以下の通り。

     

    父親が高熱の息子を助けようと夜中に馬を走らせた。

    しかし、息子は魔王の声を聞き、恐怖におびえ、父に訴えた。

    ところが父は高熱による幻聴・幻想と受取り、そのまま走り続けた。
    そして、最後は目的地に着くも既に息子は息絶えていた。

     

    一人の歌い手が、父と息子、悪魔、そして語り手を歌いわけ、ピアノはその劇的な状況を弾き分けるという、どちらも何度の高い作品。

    それをうまく表現できている決定版は、フィッシャーディースカウ(Bs)、ジェラルド・ムーア(Pf)ではないでしょうか。

     

    (参考までに)

     シューベルト:歌曲"魔王"(詩:ゲーテ)

     ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Pf)、ジェラルド・ムーア(Pf)

     https://www.youtube.com/watch?v=2d4SddVDBZI

     

     モーリッツ・フォン・シュヴィント(1804-1871)による"魔王"の挿絵

     

    (歌曲"魔王"のゲーテによる評価)

    ゲーテのこの詩に作曲した作品は他にもいくつかありました。

    実はゲーテはシューベルトのこのような劇的な表現を好まず、民謡調の他の作曲家の作品を良しとしました。

     

    その後この歌曲は、長く高い評価を得られませんでした。

    ところが、ゲーテは最晩年に、ソプラノ歌手ヴィルヘルミーネ・シュレーダー=デフリントがシューベルトの『魔王』を歌うのを直接聞いたところ、「私は前にも一度この作品を聴いたことがあるのだが、そのときはぜんぜん気に入らなかった。だが、あなたがいま歌ったように演奏されると、曲全体が一幅の絵となって目に見えるようにみえる」と、過去に低い評価を下したことを悔いたと伝わっています。

     

    そして現在はドイツ歌曲の中でも最も人気のある作品の一つになっています。

    なかなか芸術作品の評価というものは難しいものですね。

     

     

     

    ランキングのボタンをクリックで、応援をよろしく!

    ブログランキングに参加しています。
    皆さんの1クリック(一票)で順位が決まりますので、 
    気に入ったら、
    このリンクか上の兵庫県ランキングのボタンを押してください。
    ご協力、ありがとうございます (*^^*)

     

     

    * 縁あってこちらに立ち寄ってくださった記念に掲示板に書き込みを宜しく。

    弘前りんご_新参者の宝塚日記_掲示板  

     

    #文学 #ドイツ #ゲーテ #シューベルト #歌曲 #魔王

    | 弘前りんご | 文学 | 16:30 | comments(0) | - |
    童話の古典的名作、"ごん狐”
    0

      (新美南吉)

      この名前を聴けば、多くの方が、”ああ、ごん狐の作者の”となるのではないでしょうか。

       

      新美南吉(1913年〈大正2年〉7月30日 - 1943年〈昭和18年〉3月22日wikipedia

       

      (ごん狐)

      この童話を、小さいお子さんに読んで聴かせたことがある方も多いのではないでしょうか。

      短いお話なので、まずは青空文庫(著作権フリーの文庫サイト)を読んで思い出してみてください。

       

       ごん狐 新美南吉作 https://www.aozora.gr.jp/cards/000121/files/628_14895.html(青空文庫)

       

      これを書いたのは、新美南吉がわずか17歳の時。初出は『赤い鳥』1932年1月号です。

       

      (夭折の作家)

      彼は、当時不治の病と言われた結核で、1943年に29年という短い人生を終えました。抗生物質ストレプトマイシンが日本でも普及し、死者が激減したのが1945年の敗戦後のことです。そのためにどれだけ有為な人々が志半ばにして亡くなったか。

      とはいえ短い人生だったゆえ、作品数は多くありませんが、「ごん狐」以外にも「おぢいさんのランプ」や「手袋を買いに」という、とても印象深い作品があります。

       

      直接お互いにあったことはなかったようですが、地方で教師を務めた経験があり、若くして亡くなった童話作家という点で共通する宮沢賢治と彼は、「北の賢治、南の南吉」という風に並び称されることもあります。

      尤も、独自の世界観、宗教観からくるシニカルな表現が特徴の賢治に対して、自分の周りにあった素朴なエピソードを基に情緒的なタッチで描く南吉という風に、作風は対照的でした。

       

      今日3月22日はそんな新美南吉の命日でした。

       

       

      ランキングのボタンをクリックで、応援をよろしく!

      ブログランキングに参加しています。
      皆さんの1クリック(一票)で順位が決まりますので、 
      気に入ったら、
      このリンクか上の兵庫県ランキングのボタンを押してください。
      ご協力、ありがとうございます (*^^*)

       

       

      * 縁あってこちらに立ち寄ってくださった記念に掲示板に書き込みを宜しく。

      弘前りんご_新参者の宝塚日記_掲示板  

       

      #文学 #童話 #新美南吉 #ごん狐 #赤い鳥 #宮沢賢治 #夭折の作家 #おぢいさんのランプ #手袋を買いに

      | 弘前りんご | 文学 | 05:28 | comments(0) | - |
      みんな通ってきた道?
      0

        (今最も売れている絵本作家)

        絵本にはロングセラーが多いといいます。

        親が選んで読んで聴かせ、それで育った子供がまた自分の子に読んで聴かせるということも有るでしょうね。

        ”ぐりとぐら”なんて我が家でもそうでした。

         

        ぐりとぐら(福音館書店)表紙

         

        一方、新しいけれど、親子に絶大な支持を得ている絵本作家もいます。

        その一人がヨシタケシンスケ

        代表作というか、彼の真価が発揮された本が"りんごかもしれない"ではないでしょうか。

         

        ヨシタケシンスケ:りんごかもしれない(ブロンズ新社)

         

        机の上に見つけたりんご。

        しかしそれはりんごじゃないかもしれないと言う思いを発端に、どんどんと妄想が広がっていく展開がとても面白く、子供におおいに受けるものでした。大人でもその発想の奇抜さに惹かれました。まさに妄想爆発、抱腹絶倒の連続。

         

        (シリアスな目)

        そんなヨシタケシンスケが、おそらく自身の体験に基づいて書いた絵本が"ヨチヨチ父_とまどう日々"

         

        ヨシタケシンスケ著 ”ヨチヨチ父”

         

        ページをめくるたび、

        お子さんのいる男性なら、そういえばそんな気持ちになったなあと、いちいち頷かされることでしょう。

        かく言う私も遠い昔を思い出して頷きました(^^;)

         

        『ヨチヨチ父』は、作者自身の子育てにまつわるエピソードを、簡潔な、しかし微笑ましくも涙ぐましい絵で綴る絵本です。

         

        子供が生まれる10ヶ月も前から女性は母親になるけれど、男性は父親目指して成長してゆく(その気があればですが ^^;)ものであることがわかります。

         

        それは、言い古された言葉ですが、我が子を10ヶ月もお腹の中で育み、そのおなかを痛めて生んだ女性と、生まれたときにはじめましてという、実感という意味では遥かに希薄な男性の違いでしょう。

         

        だからこそ、誕生の日からの毎日が、その実感を確かなものにしてゆく過程であり、父親になるというなんでしょうね

         

        そして父親は常に脇役でしか無い

        それなら、名バイプレイヤーをめざすしか無いっしょ^^;)

         

        それにしても、『男はつらいよ』は映画のタイトルだけではありませんね。

         

         

        ランキングのボタンをクリックで、応援をよろしく!

        ブログランキングに参加しています。
        皆さんの1クリック(一票)で順位が決まりますので、 
        気に入ったら、
        このリンクか上の兵庫県ランキングのボタンを押してください。
        ご協力、ありがとうございます (*^^*)

         

         

        * 縁あってこちらに立ち寄ってくださった記念に掲示板に書き込みを宜しく。

        弘前りんご_新参者の宝塚日記_掲示板  

         

        #絵本 #ぐりとぐら #ヨシタケシンスケ #りんごかもしれない #ヨチヨチ父 #子育て #男はつらいよ #バイプレイヤー

        | 弘前りんご | 文学 | 16:59 | comments(0) | - |
        ちょっとは上達したのかな?
        0

          (光る君へ)
          NHKの現在の大河ドラマは"光る君へ"
          今週の回は、藤原道長と紫式部の恋文のやり取りの場面がありました(それが歴史的事実かどうか、知らんけど ^^;)。

          今回の脚本は大石静さん。

          朝ドラのふたりっ子、オードリー、大河の功名が辻を書いた人として、面白くなると期待して見てきました。

           

          その大石さんが放送開始前のインタビューで、どんな内容になるのかと聴かれて、

          セックス&バイオレンスと、苦し紛れに?思わず言ってしまったと述懐されていました ^^;)

          確かに平安時代を優雅な貴族社会として描くのではなく、権謀術数渦巻く世界(バイオレンス)として描き、初回では式部の母が無惨にも刺殺されるなんて場面も出てきましたね。後は色恋沙汰(セックス)をどう描くかですね (*^^*)

           

          NHK:光る君への一場面

           

          (くずし字)
          それはさておき、その"光る君へ"の中で、道長が最初に紫式部に宛てて書いた恋文の文面がくずし字で出ていました
          録画だったので、場面を止めて読んでみたところ、なんとか読めました (*^^*)

           

           

           思うには 忍ぶることぞ 負けにける 色には出でじと 思ひしものを。(詠み人知らず、巻11−503)

           

          ググってみると、詠み人知らずの歌のようですね。

          去年までなら、くずし字を見たらスルーしていただろうに、読んでみる、なんとか読めるところまで来ました。

          3ヶ月弱の訓練も無駄ではなかったようです。

          これからも精進しなくては。
          ちなみに、今は伊勢物語を読んでいます。

           

           

          ランキングのボタンをクリックで、応援をよろしく!

          ブログランキングに参加しています。
          皆さんの1クリック(一票)で順位が決まりますので、 
          気に入ったら、
          このリンクか上の兵庫県ランキングのボタンを押してください。
          ご協力、ありがとうございます (*^^*)

           

           

          * 縁あってこちらに立ち寄ってくださった記念に掲示板に書き込みを宜しく。

          弘前りんご_新参者の宝塚日記_掲示板  

           

          #ドラマ #大河ドラマ #光る君へ #大石静 #恋文 #くずし字 #古今和歌集 #伊勢物語

          | 弘前りんご | 文学 | 05:21 | comments(0) | - |
          地口ってなんだ?
          0

            (初めての)
            小学校の頃だったか、校庭で友達と追い掛けっこをしていた時、私が鬼で、友達が逃げていました。

            もう少しで追いつくと言うときに、その友達は校舎の出入り口に飛び込み、扉を閉めてしまったのです。

            思わずその時口をついて出たのが、"しまった!(閉まった!)" 
            これが地口の初体験だったのでしょうか ^^;)

             

            (くずし字のお勉強)
            今やっているくずし字のお勉強でテキストに使っているものの一つが、山東京伝の"「怪談摸摸夢字彙」(かいだんももんじい)"
            そこには地口が次々と出てくるんですね。登場する妖怪がそもそも言葉をもじったもの。「見越入道」ならぬ「見越入湯《みこしにゅうとう》」、「ろくろ首」ならぬ「欲路首《よくろくび》」などなど、山東京伝が作ったパロディー妖怪です。

             

            (地口)
            さて、地口と言えば、諺や有名な芝居の台詞など、人々によく知られた文句を、音のよく似た別の言葉に置き換えて、その滑稽(こっけい)さを笑い、楽しむ言葉遊びです。

             

            地口にもいろんなタイプがあります。
            1.まず有名な文句をもじったもの。
             "飛んで火に入る夏の虫"から、この絵の"とんでゆに入る夏のぶし"

             

            浅草伝法院通りの地口行灯(wikipedia)

             

             "沖の暗いのに白帆が見える"から、"年の若いのに白髪が見える"
             "舌切り雀"から、"着たきり雀"

            2.韻を踏んで、リズムの良さに依存していて、特に意味のないもの。
             "困った困ったこまどり姉妹"
             "アイムソーリー、ヒゲソーリー、髭を剃るならカミソーリー"
             "美味かった(馬勝った)、牛負けた"

             

            3.むだ口(掛詞で、うしろに意味のない言葉をつなげたもの)
             "当たり前田のクラッカー"
             "その手は桑名の焼き蛤"

             

            言葉を単なる情報の伝達手段としてだけでなく、その中に遊び心を忍ばせる、言葉を愛する人々の心が感じられますね。

             

             

            ランキングのボタンをクリックで、応援をよろしく!



             

            ブログランキングに参加しています。
            皆さんの1クリック(一票)で順位が決まりますので、 
            気に入ったら、
            このリンクか上の兵庫県ランキングのボタンを押してください。
            ご協力、ありがとうございます (*^^*)

             

            また、ブログをフォローしていただければ幸いです。

             

            * 縁あってこちらに立ち寄ってくださった記念に掲示板に書き込みを宜しく。

            弘前りんご_新参者の宝塚日記_掲示板  

             

            #文学 #滑稽本 #黄表紙 #山東京伝 #怪談摸摸夢字彙 #地口 #言葉遊び

            | 弘前りんご | 文学 | 06:53 | comments(0) | - |
                 12
            3456789
            10111213141516
            17181920212223
            24252627282930
            31      
            << March 2024 >>
            + RECOMMEND
            失われた手稿譜 ヴィヴァルディをめぐる物語【電子書籍】[ フェデリーコ・マリア・サルデッリ ]
            失われた手稿譜 ヴィヴァルディをめぐる物語【電子書籍】[ フェデリーコ・マリア・サルデッリ ] (JUGEMレビュー »)
            (弘前りんご)

            自身もバロック音楽の研究者であり、演奏家であるサルデッリが書いた、”失われた手稿譜 ー ヴィヴァルディをめぐる物語 ー” では、ヴィヴァルディが亡くなった直後から漂流し始める、ヴィヴァルディが残した膨大な手稿譜が本当の主人公であり、小説の形をとっているものの、そこに書かれたことはほとんどが事実です。

            しかし、その手稿譜がたどったその後の運命は、数奇としか言いようのないものでした。

            手稿譜を借金の方に取ろうとする債権者、取られるのを防ごうとしたヴィヴァルディの弟。

            修道士会に寄付されたものの、その価値がわからない修道士たちは、それをごみのように扱い、教会の倉庫の奥に放り込でしまい、長い年月の眠りにつきます。

            その後その存在を知った貴族が個人のコレクションとして入手。

            研究し、その散逸を防ごうとした研究者と、骨董的価値にのみ注目するファシスト政府との攻防。

            いずれも手に汗握る展開で飽きさせません。

            最大の貢献者の一人、ジェンティーリが追われて大学を去るときの言葉

            ”正しきものは、とこしえに記憶される” が、心に染み入ります。
            + RECOMMEND
            旅屋おかえり [ 原田マハ ]
            旅屋おかえり [ 原田マハ ] (JUGEMレビュー »)
            ”旅屋おかえり”は、旅そのものが目的であり、生きがいの、そしてそれを仕事にしてしまった一人の女性の夢、挫折そして再生の物語です。

            旅屋とは、故あって自分は旅に出ることが叶わない依頼人に代わって旅をして、本人の代わりに希望の体験や目的を果たして、その旅の記録を依頼者に成果として届けるというもの。それを思い立ったのは偶然の出会いから。

            またタイトルのおかえりは、家に、故郷に戻ったときに掛けられる言葉、”おかえり” と、丘えりこの愛称、おかえりをもじったものです。そしてその言葉を聞きたくて旅に出るのです。

            旅屋の仕事としての旅によって、契約内容を遥かに超える成果(人間関係のもつれを解き、凍てつきを融かす)がもたらされるだけでなく、主人公、そしてそれを取り巻く人々の心までも癒やしてゆきます。

            そして成功するまでは故郷には帰れないと覚悟している主人公が、故郷で待つ母のおかえりという言葉を聞ける日も間もないというところで、小説は幕を閉じます。

            まさにハートウォーミングな小説。読後にじんわりと心があたたまる作品でした。
            + SELECTED ENTRIES
            + RECENT COMMENTS
            + CATEGORIES
            + ARCHIVES
            + Google Adsense
            + Google AdSense
            + Google AdSense
            + Google Adsense
            + Google AdSense
            + MOBILE
            qrcode
            + LINKS
            + PROFILE