弘前りんごの北のまほろば

司馬遼太郎の”街道をゆく”のタイトル”北のまほろば”に魅せられて、本州最北端の県にやってきました。日々見聞きしたこと、感じたこと、考えたことなどをつれづれなるままに綴ります。
演劇へのいざない?_有川浩の”シアター!”を読んで。
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    久しぶりに有川浩の小説”シアター!”を読みました。

     

    有川浩 シアター! (メディアワークス文庫)


    いじめられっ子だった弟は、演劇に目覚め、自分の居場所を見つける。
    一方、小さいときにその弟をかばい続けた兄は、今や有能な営業マンに。

     

    その兄が、弟の一大事(立ち上げた劇団の存続の危機)に、始めは演劇から足を洗わせるために、300万円の借金を立て替え、そのかわりに3年後にそれを返済出来なければ劇団を解散させる事を、弟に約束させる。しかし、劇団の運営にいわば監査役として関わるうちに、気持ちが変わってゆく。
     

    と言ったストーリーなのですが、テンポの良さと、登場人物の感情の機微が実に旨く表現されて居るため、読んでいるうちにまるで自分もその劇団の関係者の一人のように思えるようになってきて (^_^;)

     

    有川浩、さすが稀代のストーリーテラー。旨いです。

    以前はキャラメルボックスとか、劇団☆新感線とかを見ていた時期もありましたが、最近はご無沙汰でした。これを読んで演劇の舞台をまた見たくなりました。」

     

    PS: シアター2!を入手。読むのが楽しみです。

     

     

    | 弘前りんご | 文学 | 06:35 | comments(0) | trackbacks(0) |
    業深き者_安倍龍太郎の『等伯』を読んで。
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      長谷川等伯 松林図 左隻(wikipedia)

       

      同 右隻 (wikipedia)

       

      この小説『等伯』は、画家、長谷川等伯の最高傑作 ”松林図” を目にした、秀吉、家康、利家など居並ぶ戦国武将たちが涙を浮かべ、”我々はこれまで何をしておったんだろう”と言わしめた場面をクライマックスに置くことを想定して書かれたという印象を持ちました。

       


      武家の四男に生まれて、幼い頃に染物屋、絵屋の長谷川家に養子に出された信春(等伯)は、大いなる挫折感を味わいながら、この上は絵師として大成して実家を見返すと心に誓います。それから70代までの人生の大きな節目節目での判断は、絵師としての本能に沿った、しかし、結果的に自分を追い込むことばかり。

      結果、本国(能登)を追われ、京都でも対立する武家同士の争いに巻き込まれ、更には当時の絵師の世界を牛耳っていた狩野派にも敵とみなされ、身も心も休まるときはなかった人生。その過酷さは本人もさることながら、家族(特に死別した最初の妻)には一層厳しかったことでしょう。自分以上の才を持っていると期待していた長男の若すぎる死も彼には大きな痛手。しかし、だからこそ他の者には到達できない高みに到達できたともいえます。

      それにしても、芸術家の業とはそこまでも凄まじいものかと驚かされざるを得ません。

       

      | 弘前りんご | 文学 | 06:59 | comments(0) | trackbacks(0) |
      聞き慣れたはずのそれらの曲を、改めて聴いてみたくなりました。_恩田陸 蜂蜜と遠雷
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        具象的な絵画や彫刻ならば、言葉によってある程度は読むものに伝えることも可能ですが、音楽はどうでしょうか?

         

        恩田陸の小説 ”蜂蜜と遠雷”は、著名なピアノコンクールに関わる人々(出演者、審査員、聴衆など)をいろんな面から描いた作品。

        登場人物が、個性的でかつ魅力的。しかし、本当の主人公は音楽ではないかと思った次第です。

        彼らは、その音楽にいろんな形、意味合いで奉仕する生き方を選んでいるのではないでしょうか。

         

        いずれにしてもこの小説を読んで、そこで繰り広げられる1次から3次の予選、そして本選に出て来る課題曲。実に魅力的に描かれていて、改めて聴いてみたくなりました。

        と思っていたら、なんと出版社のサイトがナクソスの音源を使って、さわりだけですが登場順に聞くことができるんですね。有料会員になれば、全曲を聴けるとか。

        商売がうまい! (^_^;)

         

        http://www.gentosha.jp/articles/-/6896

         

        (追伸)

        昨日のことになりますが、恩田陸さんはこの作品で直木賞に続いて、第14回本屋大賞を受賞。
        第2回にも、夜のピクニックで受賞。今回は二回目の受賞となりますね。おめでとうございます (^o^)

         

        | 弘前りんご | 文学 | 06:48 | comments(0) | trackbacks(0) |
        今度はサスペンス?_原田マハの ”サロメ”
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          最近、原田マハの作品を渉猟している感がありますが、つい最近新刊が出ました。” サロメ”

           

          サロメ 原田マハ著

           

          そう、あのオスカー・ワイルドの戯曲ですね。

          ヘロデ王の義理の娘サロメは、美貌の預言者ヨカナーンを一目見て恋に落ちるもののヨカナーンから拒絶された。そこでその思いを遂げるため、ヘロデ王に踊りを披露し、その褒美にヨカナーンの首を所望し叶えられた。これは旧約聖書に出てくるごく短いエピソード。これをワイルドが大胆に脚色して書いたものが戯曲”サロメ”。

           

          オスカー・ワイルド (ウィキペディア)

           

          原田マハの小説”サロメ”は、その作品の成立にまつわる、作者ワイルドと、その英語版の表紙を飾ってイギリス画壇に彗星の如く現れた画家ビアズリーのあいだにあった愛憎をミステリータッチで描いています。

           

          オーブリー・ビアズリー (wikipedia)

           

          サロメの作者はワイルドであるけれども、ビアズリーの絵があってこそ、サロメは不朽の名作となり得たという見方もあるようです。

           

          現代のキュレーターが狂言回しの役で登場し、過去と現在を行き来する描き方も、原田マハのスタイル。最初から物語の中に引き込まれる感じがします。

           

          ネタバレは本意では無いので、これ以上内容に立ち入りませんが、楽園のカンバス、暗幕のゲルニカに続く、力の入った長編であることは間違いありません。

           

          | 弘前りんご | 文学 | 06:54 | comments(0) | trackbacks(0) |
          登場人物が絢爛豪華 (*^^*)_ 原田マハの ”リーチ先生”
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            原田マハの最新作 ”リーチ先生”

             

            原田マハ ”リーチ先生” 集英社

             

            小さな、それほど有名でもないと思われた陶芸の里に、イギリスからある人物が尋ねてくるところから物語は始まります。

             

             

            その人とは、バーナード・リーチ。20世紀イギリスを代表する陶芸家・画家・版画家(エッチング)。

             

             

            スリップウェアペリカン図大皿(大山崎山荘美術館所蔵)

             

            竹林遊鶏図(大山崎山荘美術館所蔵)

             

            そのプロローグでの狂言回しは、高市という青年。

            訪ねてきたリーチの世話役に選ばれた地元の陶芸見習いで、その章の終わりごろに驚きのリーチとの接点が明かされます。

            このあたりは推理小説を読んででもいるかの感があります。

             

            そして舞台はリーチが青年の頃、日本を訪ねて来る頃に遡ります。

            そこから登場する人物のなんと豪華なこと。

            高村光雲、光太郎親子、岸田劉生、富本憲吉、柳宗悦、志賀直哉、里見などなど。

            しかも、リーチを軸にした其の交流が実に濃密。明治期の志を持つ人々の熱い思いが伝わってきます。

            それは取りも直さず、強い好奇心と行動力、そして誠実な心を持ったリーチだからこそということなのでしょう。

             

            | 弘前りんご | 文学 | 06:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
            ハローワーク作家? 原田マハ
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              原田マハといえば ”楽園のキャンバス” というほど、その印象が強烈です。

              楽園のキャンバスは、キュレーター(美術館・博物館の学芸員の現代風呼び名)という、それまでどこか地味な感じが拭えなかった職業を魅力的に描いた点も見逃せません。

               

               

              そんなわけで、この”本日はお日柄もよく”の最初の印象は、こう言う作品も書いていたんだと言うもの。スピーチライターという、当時あまり知られていなかった職業を目指すことになった若い女性の悲喜こもごもの成長物語。

               

              しかし、読み終わったら、知られていなかった職業に光を当てる点で、根っこは同じだなという思いに変わりました。もちろんそれだけでなく、エンターテインメント性も十分で、楽しく読み通すことができました。スピーチのノウハウも色々と載っていて役に立ちます。

               

              次はどんなものを取り上げてくれるかなと期待しています。

               

              | 弘前りんご | 文学 | 07:23 | comments(0) | trackbacks(0) |
              津軽に咲いた双つの花_葉室麟 ”津軽双花”
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                葉室麟といえば、”蜩ノ記(ひぐらしのき)” を始め、義に殉ずる武士の生き様を描いた作品が多いですが、今回読んだ ”津軽双花”の主人公は、津軽藩の信枚の正室であった、辰姫と満天姫。

                しかし、そこに描かれた二人の女性は、武士以上に潔く自分の信にしたがって生き切ったといえます。

                 

                辰姫が石田三成の娘。満天姫は家康の姪。関ヶ原で相い対した父と叔父のように、二人の女性は津軽の地を関ヶ原として相対することにあるという、歴史の皮肉。

                しかし、読み進めるうちに、二人が戦ったのは互いにではなく、良きライバルとして、精神的な支えとなり、それぞれの過酷な運命と戦ったというべきでしょう。初代為信とその長子との不和から、津軽藩が大いに乱れ、あとを継いだ二代信枚が藩の再建を信に求めたことを受けて、そのように生きる覚悟を決めたとのこと。

                 

                本来の関ヶ原の戦いを決したのは、小早川秀秋の西軍から東軍への寝返りであったと考えられますが、それが三成の苦肉の策であったと作者は大胆な推定をして、辰姫・満天姫同様、三成も、家康も大きくは世の平和・安寧のために戦ったと捉えることができるとしています。

                 

                いずれにしても、二人の女性の生き様の見事さに強い感銘を受けました。

                | 弘前りんご | 文学 | 07:46 | comments(0) | trackbacks(0) |
                代わりに総括してあげました? (^_^;)
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                  総括と言うと、リアルタイムであのあさま山荘事件の報道を見た世代として、どうしても連合赤軍他の共産主義者がよく使った、リンチ、私刑を意味する言葉として思い起こしてしまいます。

                   

                  あさま山荘(wikipedia)

                   

                  しかし、本来総括とは、それまでの活動や行動全体を見渡してまとめるという言葉です。

                  そもそも、個人にしろ団体にしろ、あるいは国としてきちんと総括しないと前に進めず、結果その次はない、発展はないということです。

                  日本は敗戦後、いろんな好条件が重なってめざましく復興しました。しかし、この戦争に至った経緯について、きちんと総括せずにウヤムヤにしたまま現在に至っています。今現在の日本を悩ませている様々な問題の多くは、この総括をしなかったことに端を発している様に思えてなりません。

                   

                  民進党誕生時にネットに流れたコラ画 

                   

                  総括しなかったという意味では、最近の政治の世界で辞書に用例として載せたいくらいの事例があります。

                  そう、あの失われた3年、政権担当政党であった民主党。今は維新の党と合流して民進党ですか?

                  なぜその凋落に陥ったかを誰も明らかにせず、ただ名前を変えただけでしのげると思っている事自体、総括という言葉が辞書にないのではないかと思ってしまいます。

                   

                  赤尾由美 著 ”民進党(笑)。さようなら、日本を守る気がない反日政党”

                   

                  そんな一向に総括しようとしない当事者に代わって、なんなら私が総括してあげましょうと名乗りを上げたのが、この本、そしてその著者です。

                  著者の赤尾さんは、彼らと対立する政治家でも、偏狭な思想の大学の先生でも、ましてや近年湧いて出てくるような感のある自称評論家でもありません。自身数百人の従業員を抱える中小企業の経営者として、日々経営に腐心している実業家です。

                  しかし、さすがあの赤尾敏の姪御さん。その筆の冴えていること。大いに笑わせてくれます。ご本人はそれは愛ある故であるとおっしゃってます。

                   

                  もちろん、民進党だけではありません。彼らの敵失で救われているような自民党に対しても、苦言を呈しています。

                  しかし考えてみれば、そんな衣を変えただけの政党に今持って騙される国民の覚醒を促すのが、この本の真の狙いなのではないでしょうか?

                   

                  | 弘前りんご | 文学 | 06:39 | comments(0) | trackbacks(0) |
                  チェーザレ再読
                  0

                    観測史上初めての東北初上陸だった台風10号。

                    さすがに昨日は4時頃から風が激しくなりはじめ、ちょっとこのままでは帰れなくならないとも限らず、午後6時に早めに帰宅しました。

                    こんな時は家でおとなしく本でも読むかと思ったのですが、書棚で目に入ったのが、惣領冬実の漫画 ”チェーザレ”。

                     

                     

                    ヨーロッパに名を轟かせた二人のチェーザレ。一人は古代ローマのユリウス・カエサル(チェーザレはカエサルのイタリア語読み)。

                    そしてもう一人は、イタリアルネサンス期のスペインの枢機卿チェーザレ・ボルジア。ともにヨーロッパ、地中海世界を統一する(平和をもたらす)夢を抱き、ともにその半ばで倒れました。

                     

                    このチェーザレボルジアの青年期から描きだした長編。1年におよそ1冊ほどのペース(現在11巻)なので、いつ出るともわからない次号が待ち切れず、同じ作者の別の作品を買ったりしましたが、やはりその渇きはチェーザレでしか癒せないようです。

                     

                    そこで、また一巻から読み返すことにしました。

                    すると一度目にも目にしていたはずなのに、新たな発見(というより、気づき)がいろいろとあって、また面白く読めますね。

                    よく資料に当たり、描く絵も時代考証を専門家に当たって描かれているので、見ごたえがあります。

                    これから秋の夜長に、今度はちょっとずつ味わって読もうと思います。

                     

                    | 弘前りんご | 文学 | 07:09 | comments(0) | trackbacks(0) |
                    江戸禅画の系譜_白隠と仙
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                      江戸美術の王道は、狩野派、四条円山派、琳派でしょう。

                      でも最近はそれに入らない作者や作品が大いに注目を集めています。

                       

                      伊藤若冲 (wikipedia)

                       

                      例えば伊藤若冲の展覧会は、過去にミロのビーナスが来日した時のような大混雑 (^_^;)

                       

                      白隠自画像(wikipedia)

                       

                      そこまでは、いかなくても取り上げられることが多い(特に現代の作家から注目をあつめている)一人が、白隠でしょうか。

                      (あくまで私個人の感想ですが ^_^;)

                       

                      達磨図(wikipedia)

                       

                      禅僧が庶民に禅の教えを伝えるのに絵を用いたことが、事の始まりとのことですが、その作品はそのような経緯を超越して、美術品として見るに十分耐えるものになっています。特に晩年の作品は更に進化し、彼の言葉”技巧を捨てよ”にまさにはまる、洒脱の境地に入ったものになっています。

                       

                      その軽妙洒脱な作風を継承し、更に突き詰めたのが、仙僂任靴腓Α

                       

                      ○△□図 (出光美術館蔵 wikipedia)

                       

                      それがどんなものか、この絵を見ていただければ、多くを語る必要ないのではないでしょうか。

                      世界に類を見ない、独自の世界だと想います。

                      江戸美術は、封建社会という強い枠がありながら、その中で実にユニークな発展をして、面白い世界だと感じます。

                      | 弘前りんご | 文学 | 07:12 | comments(0) | trackbacks(0) |
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