弘前りんごの北のまほろば

司馬遼太郎の”街道をゆく”のタイトル”北のまほろば”に魅せられて、本州最北端の県にやってきました。日々見聞きしたこと、感じたこと、考えたことなどをつれづれなるままに綴ります。写真、音楽、そして本好き(万葉集)なアラ還です。
今日は世紀末の芸術家 グスタフ・クリムトの誕生日 _ 生涯独身、でも少なくとも10人以上の女性と関係を持ち、その間に子供が何人も居たそうです ^^;)
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    なんだか週刊誌のゴシップ記事のタイトルのようで恐縮です ^^;)

     

    グスタフ・クリムト(Gustav Klimt, 1862年7月14日 - 1918年2月6日, wikipedia)

     

    東京での班会議に出掛けた日の夕方、ホテルにチェックインする前に、上野公園の東京都美術館で公開中の、”クリムト展 _ ウィーンと日本 1900"に寄ってきました。最近は週末金曜日は夜遅くまで開館している美術館・博物館が増えて助かります。

     

     

    展示棟の大きな窓に、例によって大きなポスターが展示され、通行人が(観覧する人もしない人も? ^^;)思い思いに写メをとっていました。かく言う私ももちろん ^^;)撮りましたが。

     

     

    DSC_2566.JPG

     

    なかなかの人気ですね。入場口からここまで4,5回、列は折れ曲がって続いています ^^;)

    本当に30分で入れるのかと心配になる行列の長さでした。

     

    DSC_2567.JPG

     

    あっ、違った、こちらはラーメン屋の行列だった ^^;)

     

    この日7月5日が会期終わり間近(7月10日までの会期)ということもあったのでしょうが、平日の夕方でこの込み様は、クリムトの人気の高さを象徴していると言えるでしょう。

     

    沈みゆくハプスブルグ帝国の都ウィーンの世紀末の気分を反映してか、彼の作品はメインテーマが何であれ、その底に官能的で、静穏でありながら不安感を見るものに与えます。

     

    今回の展示会の目玉作品の一つ、ユディトI(1901年 wikipedia)

    敵将ホロフェルネスの首を脇に抱えて、恍惚とした表情のユディト。

     

    * 旧約聖書外伝にあるユディト記

    ユダヤの町べトゥリアにアッシリアの王ネブカドネザルが支配のため、将軍ホロフェルネスを派遣します。この町の美しい寡婦ユディトはホロフェルネスに取り入り、安心させた上で寝所で彼の寝首をかき、見事派遣軍を撤退させて、この街を護りました。

     

    このテーマはよほど魅力的と見え、過去に多くの画家が描いています。ボッティチェリ、クラナッハ、カラヴァッジョ、ジョルジョーネなど。

    そして音楽でも、ヴィヴァルディ、モーツァルト、オネゲルなどなどが、作品として残しています。

     

    この絵のように、彼の描く対象の多くは、女性、それも裸体、妊婦、セックス、老化、死などであり、当時の芸術アカデミズムの方面からは強い批判を浴びました。しかし、それを物ともせず、時には分離派と呼ばれる芸術家グループを結成し、自らの信じるところの作品を描き続けました。

     

    今回の展示会は、若い頃から晩年までの彼の作品の変遷を見せるものでした。

    そのため人物画家というイメージで捉えていた彼が、意外にも風景画をいくつも残していることに驚きました。

    展覧会のガイドによれば、いわば注文で描くことの多かった人物画制作によるストレスを発散する、あるいは心のバランスを取るために、注文制作ではない、風景画を描いていた面があるとのこと。

     

    そして、今回のもう一つの目玉作品は、オリジナルではないものの、全長34メートルにおよぶ壁画『ベートーヴェン・フリーズ』の精巧な実物大の複製展示でしょう。会場に入って、その規模に圧倒されました。

     

     

    クリムトは、オーストリアの作曲家ベートーベンに焦点を当てて、1901年に第14回のウィーン分離派展覧会を開催しました。このベートーヴェン・フリーズという作品は、この展覧会用に制作されました。

     

    これは、ベートーヴェンの交響曲第9番にインスピレーションを得て制作されたもので、「幸福への憧れ」(左の壁)、「敵対する勢力」(中央の壁)、「歓喜の歌」(右の壁)と、フリースのように続く3つの場面から構成されています。

     

    ただ、現代の我々が見ると、その迫力に圧倒され、歓喜に至る流れを感じ取ることが出来ますが、当時のオーストリアでは、醜悪な絵として大きな批判が巻き起こりました。

    その社会的な失敗からクリムトは、それまでの国からの援助を受ける立場を失い、分離派の他の仲間との間もぎくしゃくとし始めます。そして彼は分離派から離れ、その後の彼独自の画風へと変化してゆきました。

    そういう意味でも、この作品は彼にとって一つの大きな転換点となった作品です。

     

    いろいろな経緯があったものの、これが残されて、我々が目にすることが出来たのは幸いというべきでしょう。

     

    今日7月14日は、彼の157回目の誕生日です!

     

     


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    #クリムト #ハプスブルグ #1900年 #東京都立美術館 #分離派 #ベートーヴェンフリーズ #誕生日 #生涯独身 #隠し子が沢山 #女性を描く

     

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    | 弘前りんご | 美術 | 10:10 | comments(0) | trackbacks(0) |
    生誕125年! 開館10周年! 東京広尾の山種美術館が総力を挙げての速水御舟展 (*^^*)
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      山種美術館は、東京広尾(JR恵比寿駅から北に10分ほど歩いたところ)の閑静な住宅街の中にある、日本画専門の私立の美術館です。

       

      DSC_2585.jpg

       

      山種証券と、その創業者山崎種二が蒐集した数百点に及ぶ日本画の名品のコレクションを公開することを目的に開館しました。

      山種美術館の名は、創業者の名前から取られたものです。

       

      初めは、1966年に株の街、兜町にオープンしたのですが、今から10年前に現在の広尾の地に移転オープンしました。

      ちなみに現在の館長は、山崎種二のお孫さんの妙子さん。テレビの美術関係の番組にもよく登場される方です。(http://www.yamatane-museum.jp/aboutus/director.html

      現在では1,200点に及ぶ日本画の名品を保有し、管理、研究も行っています。

      中でも、速水御舟、川合玉堂、奥村土牛の作品がその中心をなしています。

       

      今回、広尾での開館10週年を迎え、奇しくも速水御舟生誕125年の年に当たることから、彼の大掛かりな展覧会を企画されたようです。

       

      DSC_2584.jpg

       

      彼の代表作の ”炎舞”はもちろんのこと、若くして才能を発揮し、注目を集めた頃の初期の作品から、晩年の作品まで網羅されています。

       

      速水御舟(1894年(明治27年)8月2日 - 1935年(昭和10年)3月20日)(wikipedia)

       

      早くからその才能は、大家の横山大観や小林古径らに高く評価されていました。

      彼はその短い40年の生涯において、「梯子の頂上に登る勇気は貴い、更にそこから降りて来て、再び登り返す勇気を持つ者は更に貴い」という言葉通り、その時々の成功に甘んじることなく、次々と短いサイクルで画風を変えてゆきました。

       

      彼の作品は短い生涯に比して、700点と決して少なくはありません。実際にはもっと書いたのですが、自己の作品に厳しく、多くを破棄したり、関東大震災で多く焼失したりしました。しかしその残った作品の多くも個人所有であったため、人の目に触れる機会が少なく、幻の作家とさえ言われいました。

       

      しかし、山崎種二が蒐集した彼の作品を惜しみなく公開したことで、速水御舟の研究、評価が著しく進んだと言われています。

      そういう意味でも、山種美術館は速水御舟美術館と言っても過言ではないでしょう。

       

      今回撮影可能な作品があったので、撮影してきました。

       

      IMG_156239295131F.jpg

      (許可を得て撮影)

       

      IMG_156239310593F.jpg

      (許可を得て撮影)

       

      IMG_156239316654F.jpg

      (許可を得て撮影)

       

      ”翠苔緑芝”という作品です。

      金箔を背景に、緑の木々、紫陽花の葉、そして赤い花を配しています。更にはうさぎと黒猫が効果的に配置され、のどかな光景にいい意味での緊張をもたらしています。

      また、あじさいの額に見られるひび割れは、意図的に描かれたものだとのことですが、どのようにしてそれを描いたのか、誰にも明かさなかったので、未だに謎です。「絵画修業の道程において私が一番恐れることは型が出来るということである」という言葉からわかるように、常により良き技術の習得、開拓に余念が無かった彼の面目躍如というものでしょう。

       

      そして今回一番惹かれたのは、次の作品でした。

       

      名樹散椿(wikipedia)

       

      これは京都市北区の地蔵院にあった椿の名木を描いたもの。

      金は使っているものの、金箔でも金泥でもなく、金砂子を散らす手法を用い、抑えた質感が椿の木を引き立てているように感じます。炎舞とともに昭和の美術作品としては、初めて重要文化財に指定されました。

       

       


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      #山種美術館 #山崎種二 #現在の館長 #山崎妙子 #東京広尾 #速水御舟 #生誕125年 #広尾開館10周年 #炎舞 

       

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        弘前りんごの"北のまほろば掲示板

      | 弘前りんご | 美術 | 10:58 | comments(0) | trackbacks(0) |
      おーい!と呼べば、応為(おーい)と答えた、木霊のような?^^;)美人画においては北斎を越えたとされる彼の娘、葛飾応為
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        どこかで聴いたCMのフレーズのようなタイトル、恐縮です ^^;)

         

        普段から親に、おーい、と呼びかけられていたところから、江戸っ子の洒落っ気なのか、それを自分の名前にしてしまったという、当時としては珍しい女性浮世絵師、応為。

         

        葛飾応為(応為は画号で、本名は栄。生没年不詳)(wikipedia)

         

        そしてその親とは日本が生んだ浮世絵の天才(いや鬼才か) 葛飾北斎であり、応為は二番目の妻との間に出来た娘です。

        直木賞作家である朝井まかての小説をドラマ化したNHKのドラマ "眩(くらら)" では、主人公お栄を宮崎あおいがなかなか面白く演じていましたね。

         

        そうそう、もうひとりの天才浮世絵師、渓斎英泉も描かれていました。

        師匠は別に居たのに、北斎に私淑していたようです。
        根っからの女好きで、女性の絵や春画に才能の冴えを見せた彼を、松田龍平が演じていました。
         NHKドラマ "眩(くらら)" 〜北斎の娘〜 

         https://mag.japaaan.com/archives/61310


        (葛飾北斎、応為 親娘)(東京墨田区のすみだ北斎美術館には、この絵の立体フィギュアーがあり、動きます ^o^)

        http://kitamahokif.jugem.jp/?eid=2010
         

        さて話を応為に戻しましょう。

        彼女は自由奔放な性格が災いして(なんでも浮世絵師だった夫の絵を父北斎の絵と比較してこき下ろし、面目を潰したからとかで)婚家から離縁されてしまいます。それからは、北斎が天寿を全うするまでそばに居て、その世話をしたことで知られています。父の死後の消息は諸説あって、はっきりとしていないようです。


        最近まで応為は、父の浮世絵師としての偉大さの影に隠れていた感がありますが、しかし、その娘もただものではなかったのですね。
        父北斎をして、美人画を書かせたら娘には自分は敵わない、と言わしめたとか。

         

        月下砧打美人図(wikipedia)


        それを如実に示すのが、次の絵。


        春夜美人図あるいは夜桜美人図(メナード美術館)
        無款ですが、彼女の作品と同定されています。

        元禄時代に活躍した女流歌人・秋色女を描いたとされる作品ですが、常夜灯、雪見灯籠の2つの明かりに照らされ、闇の中に浮かぶような女性像。
        カラヴァッジョ、ラトゥール、レンブラントを彷彿とさせる光と影の見事な調和。



        そして上手いだけでなく、裏彩色(うらざいしき)というユニークな技法を駆使して、日本画が苦手とするカラーの濃淡を見事に表現しています。そういえば、若冲もこの裏彩色を使って、あの精細かつ大胆な孔雀や鶏の絵を描いていました。



        他にも、この”吉原格子先之図”などの、やはり見事な光と影のコントラストを活かした作品があります。

         

        彼女の絵と同定されている作品は10点ほどとかなり少ないのですが、晩年80歳を過ぎた北斎の絵に見られる色彩の鮮やかさから、それらは実は応為の協力の下に作成されたのではないかと見る説もあります。親子の共同制作だとすると面白いですね。


        いずれにしても、彼女の作品を、一度この目で実物を見てみたいものです。

         

        *この記事は、3年前にアップしたものの大幅改訂版です。

         

         


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        #応為 #北斎の娘 #優れた浮世絵師 #父を支える #父を超える #裏彩色 #渓斎英泉

         

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        | 弘前りんご | 美術 | 16:18 | comments(0) | trackbacks(0) |
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        (弘前りんご)

        自身もバロック音楽の研究者であり、演奏家であるサルデッリが書いた、”失われた手稿譜 ー ヴィヴァルディをめぐる物語 ー” では、ヴィヴァルディが亡くなった直後から漂流し始める、ヴィヴァルディが残した膨大な手稿譜が本当の主人公であり、小説の形をとっているものの、そこに書かれたことはほとんどが事実です。

        しかし、その手稿譜がたどったその後の運命は、数奇としか言いようのないものでした。

        手稿譜を借金の方に取ろうとする債権者、取られるのを防ごうとしたヴィヴァルディの弟。

        修道士会に寄付されたものの、その価値がわからない修道士たちは、それをごみのように扱い、教会の倉庫の奥に放り込でしまい、長い年月の眠りにつきます。

        その後その存在を知った貴族が個人のコレクションとして入手。

        研究し、その散逸を防ごうとした研究者と、骨董的価値にのみ注目するファシスト政府との攻防。

        いずれも手に汗握る展開で飽きさせません。

        最大の貢献者の一人、ジェンティーリが追われて大学を去るときの言葉

        ”正しきものは、とこしえに記憶される” が、心に染み入ります。
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