弘前りんご_新参者の宝塚日記

転勤で21年も青森県の弘前で暮らした関西人が、関西圏とはいえ、大阪とは違った土地の宝塚に住み、いわば新参者として暮らす中で、見聞きしたこと、思ったことをつれづれに書き綴って行きます。
印象派との出会い、決別、そしてルーベンスへの回帰。今日2月25日はルノアールの誕生日
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    (印象派らしからぬ画家)

    中学の美術の授業で、ルノアールも印象派ですと先生が言ったのを聴いて、全然そう見えないけどと内心思いました。

    心根の優しい少年は、それを口にはしませんでしたが ^^;)

     

    ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841年2月25日 - 1919年12月3日、wikipedia)

     

    (元絵付け職人)

    さて、ピエール=オーギュスト・ルノアールが画家になる前、磁器の絵付け職人として修業し、働いていたことをご存知でしょうか? リモージュ焼き*というフランスのものです。

     フランスヌーヴェル=アキテーヌ地域圏のリモージュとその周辺で生産される磁器の総称。白色薄手の素地に釉を掛け、その上に落着いた絵柄の上絵を描くのが特徴 

     

    リモージュ焼きのポット(wikipedia)

     

    リモージュ焼き磁器の特徴は、実につややかな光沢にあります。
    それに絵付けする仕事で培った美的感覚。
    それがそののちルノアール晩年の、あの独特のしっとりとして、なおかつ艶やかな光沢のある女性の肌の表現を生んだのでした。

     

    (ルノアール:浴女たち 1918-1919)
     
    (ルノアールの絵の下地)
    この表現には彼が開発した技術が下地にあります。
    まずキャンバスに白い下地を塗ります。
    それにはテレピン油と亜麻仁油を独自の割合で混ぜ、それに溶かしたシルバーホワイトの絵の具を使います。
    その上に肌色の絵の具を薄く塗るとそれを通して下塗りの白が光沢を生むわけですね。

     

    (印象派との決別)
    印象派の画家達が、光の効果を重視するあまり、形に重きを置かなくなりつつある、と感じた彼は印象派と決別しました。
    そして独自の表現を求めて至った境地がここだったわけです。

     

    (古典、ルーベンスへの回帰)

    ルノアールが、若い頃通ったルーブル美術館で魅了された、ルーベンス。

     

    (ピーテル・パウル・ルーベンス:パリスの審判 1639年 wikipedia)

     

    それにしても、実に豊満な女性の体です。

     

    そしてこちらがルノアールの、同じテーマで描いた晩年の作です。

     

     

    若い頃に憧れたルーベンスの人体表現へ、ルノアールは晩年になって回帰したと言えるのではないでしょうか。

     

     


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    #2月25日 #ルノアール #誕生日 #印象派 #出会い #決別 #回帰 #ルーベンス

     

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    | 弘前りんご | 美術 | 13:56 | comments(0) | - |
    ゴッホはいかにしてゴッホになったか_兵庫県立美術館ゴッホ展を見て。
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      (東京の展覧会をパスして)

      東京でゴッホ展(上野の森美術館 2019年10月11日ー2020年1月13日)が始まったとき、よほど行こうかなと思ったのですが。なにせ引っ越しのバタバタで厳しいかなと思いました。

      ところが、宝塚に転居した後の時期に神戸に巡回展(兵庫県立美術館1月25日ー3月29日)として来ることが分かりました。なので我慢我慢。神戸の方に行くことに決めたのでした。

       

      DSC00174.jpg

      兵庫県立美術館(正面の壁に、ゴッホの糸杉が!)

       

      (兵庫県立美術館 ゴッホ展)

      そして、1月から始まった、兵庫県立美術館でのゴッホ展にようやく行けました。

       

      いつものように(この美術館のスタイルらしいのですが)エントランスに主な展示作品の巨大なポスターが置かれています。

      もうそれだけで、十分見た気分に、とまでは行きませんが ^^;)

       

      DSC00054.jpg

      薔薇(1890年5月)

       

      DSC00057.jpg

      麦畑(1885年)

       

      DSC00064.jpg

      器と洋梨のある静物(1885年)

       

      今回の美術展では、画家としての人生がわずか10年だったフィンセント・ファン・ゴッホ(以下フィンセント)が、いかにして唯一無二の画家となりえたかを追うのがコンセプト。

       

      (ハーグ派との出会い)

      彼に画家への道を最初に指し示してくれたのが、当時パリと並ぶ芸術のメッカであったオランダのハーグの町で活躍したハーグ派と呼ばれる画家たちでした。ハーグ派とは、フランスのバルビゾン派(コロー、ミレー、テオドール・ルソー、トロワイヨン、ディアズ、デュプレ、ドービニーなど、写実的で自然主義の風景がや農民の姿を描いた)の影響を受けた写実主義の画家達のことです。

       

      オランダといえば、レンブラント、フェルメールなどの画家を輩出した芸術大国でした。

      美術が芸術であれ、ビジネスであれ、互いに対等な存在だったオランダに、多くの画家達が集まってきました。

       

      特にアントン・マウフェは、画材も持っていなければ、モデルを雇うお金も無いフィンセントに、絵具一式を分け与え、油彩画の基本を手解きしてくれました。

      それもあって、初期の頃の絵はフェルメールのような室内の静かな人物やバルビゾン派のような貧しい農民達を描いていました。そして画面全体が暗い色調でした。

       

      (パリに出て、印象派と出会う)

      フィンセントにとっては考え抜いた末だったようですが、転がり込んだ先の画商の弟テオからすればあまりに急なパリへの移住でした。しかし、弟テオは、最初に印象派の価値を見出して、コレクションした画商でした。

      そのためテオは、印象派の画家たちとの交流もありました。

      一方、フィンセントは最初は評価しなかったのですが、次第に印象派の魅力を理解し始め、それに伴って彼の絵にも印象派的な表現が強く影響します。

       

      このあたりの経緯(フィンセントとテオの関係など)については、原田マハの小説『たゆたえども沈まず』に詳しいので、興味ある方はご一読ください。http://kitamahokif.jugem.jp/?eid=2347

       

      (第三の変化)

      強い意志と、しかし繊細な神経を持つフィンセントは、自分を追い詰めるところまで画業にのめり込みます。

      ゴーギャンとの画家同士の共同生活を始め、数カ月後には破綻したそのあたりから、ハーグ派でもない、印象派でもない、彼独自の画風が確立します。

      みなさんがよくご存知のひまわりや糸杉のモティーフの絵はその2年ほどの間に集中して書かれています。

      今回はひまわりの絵は来ていませんでしたが、生きてうごめいているようなあの糸杉の絵が1枚来ていました。

       

      糸杉(1889年6月)三日月が見える夜?なのに空が明るい ^^;)

       

      また、今回の展示会で、以前とはっきり画風が変わったと感じたのは、”サンレミ療養院の庭”(1989年5月)、

       

      DSC00059.jpg

      サンレミ療養院の庭(1889年5月)

       

      明らかにこれの前の絵とこれ以降とではガラリと変わり、まさに私達がよく知るゴッホの画風になっています。

      こうやって見ると、変な喩えかもしれませんが、ハーグ派、印象派とフィンセントの関係は、着火剤と薪のような関係でしょうか。

       

      地方都市?で、しかも平日の早い午後。あまり混まずにゆっくりと見ることが出来て幸せでした。

       

      (これから行く人にお得な情報 *^^*)

      まだチケットを買っていない人へ。

      当日会場で買うと並ばなくてはならず、クレジットカードは使えず現金のみ。

      またいくつかあるオンラインチケットだとクレジットカードを使えますが、手数料を取られることもあります。

       

      しかし、展覧会公式のオンラインチケットサイト(Quick ticket)があります。

      手数料無料でクレジットカード払いにできて、スマホにチケットを登録できます。
      またスマホに余計なアプリをインストールする必要も有馬線 ^^;)

      当日はそのスマホを持っていって提示すればスムースに入場出来ますよ (*^^*)

      ぜひお試しを。

       

       

      兵庫県立美術館 ゴッホ展(https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_2001/index.html

      阪急王子公園駅から徒歩18分、JR灘駅から徒歩13分、阪神岩屋駅から徒歩8分

       

       


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      #美術 #兵庫県立美術館 #ゴッホ展 #ハーグ派 バルビゾン派 #印象派 #触媒 #阪神岩屋駅 #JR灘駅 #阪急王子公園駅 #お得情報 #公式チケットサイト

       

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      | 弘前りんご | 美術 | 06:17 | comments(0) | - |
      ミケランジェロの大作はパトロンがいたからこそ生み出された_今日2月18日は彼の命日
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        (パトロン)

        パトロネージュ(patronage)とは、芸術においては、古くは王侯貴族や教会、その後に台頭した富裕層が、音楽家や画家、彫刻家などに与えた支援を指します。
        その歴史は古く、語源は古代ローマ時代における庇護関係、保護者(パトロヌス)と非保護者(クリエンテス)のようです。

         

        芸術に於けるパトロネージュの果たした役割は非常に大きく、それがなければ芸術自体が成立しなかったと言われるほど。現代においては、スポンサーがそれに当たるのでしょうか。

         

        たとえば、ローマ教皇ユリウス2世がミケランジェロにバチカン宮殿内のシスティーナ礼拝堂への壁画制作を依頼したことによって、人類の至宝である”天地創造”は生まれています。

        後年描いたもうひとつの傑作”最後の審判”は、クレメンス7世とその後のパウルス3世による依頼です。

         

        映画”華麗なる激情” (ミケランジェロと、ユリウス二世の壁画作成にまつわる相克を描いた映画)

         

        そうやって生み出された過去の芸術文化遺産を現代人は享受しながら、そのパトロネージュを否定する向きが強いのはどうしてでしょうか。芸術に自己採算を求める国や地方自治体の首長は、頭おかしいんじゃないでしょうか? いや、なんでもありません ^^;)

         

        文化は国家の贅肉であると言った戦国大名が居たとか。あの大和にいた大名ですよ。
        贅肉は国が栄え、余裕があるからこそ存在し、繁栄の象徴、バロメーターであるということを言いたかったようですが。

         

        (音楽におけるパトロン)

        前置きが長くなりましたが、パトロネージュの果たした役割の大きさを示す作曲家におけるエピソードを一つ。

         

        オペラをとりあえず横において、クラシック音楽では、何と言っても管弦楽曲が大きな存在ですが、現代においては、作曲家が仮に交響曲や管弦楽曲を自分の思うがままに作曲したとしても、それを披露する場は容易にはありません。オーケストラ、指揮者を雇い、ホールを借り、チケットを売って動員をかける。それを全部自分でやらなければいけないからです。したがって、勢いそのような大掛かりな作品を作曲するモチベーションは高まりにくいわけです。

         

        しかし、どこからか作曲の委嘱を受ければ話は別です。作曲家は作曲に専念でき、その他の実務は委嘱者が公開の場をセッティングなどしてくれます。例えば企業がメセナの一環として、あるいはオーケストラが自身の演目の一つとして作曲を依頼するわけです。

         

        (二十世紀のクラシック音楽に於いて)

        二十世紀に入ると、
        『例え個々の作品が小規模なものであっても、この種のオーケストラ楽曲は、作曲者自らの演奏努力を必要としない保証がなければ、請け負い得ないものとなったことを物語っている』(20世紀のシンフォニー 大崎滋生より)

        その証左が、バルトークの晩年の作品群であり、ストラヴィンスキーの交響曲群です。

         

        ベラ・バルトーク(wikipedia)

         

        イーゴリ・ストラヴィンスキー(wikipedia)


        いずれも、アメリカのクーセヴィツキー率いるボストン交響楽団からの委嘱によって生み出されました。

         


        セルゲイ・クーセヴィツキー(wikipedia)

         

        それがなければ我々は、これらの名作を耳にすることはできなかったわけですから、彼には大いに感謝すべきでしょう。そして、現代の企業、そして国や地方自治体がその任を厭うようでは、文化の将来はすべからく暗いものとなるでしょう。

         

        バルトーク: 管弦楽のための協奏曲 Concerto for Orchestra

        https://www.youtube.com/watch?v=OQb3VUljpa0

         

        ストラヴィンスキー: 詩篇交響曲 Symphony of Psalms

        https://www.youtube.com/watch?v=aOKCgqbXBag

         

         


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        #パトロネージュ #文化 #ミケランジェロ #委嘱作品 #天地創造 #最後の審判 #ローマ・カトリック #法王 #ユリウス2世 #クレメンス7世 #パウルス3世 #華麗なる激情 #文化発展に不可欠 #バルトーク #管弦楽のための協奏曲 #ストラヴィンスキー #詩篇交響曲

         

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        | 弘前りんご | 美術 | 17:17 | comments(0) | - |
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