弘前りんご_新参者の宝塚日記

大阪から転勤で仙台8年、青森県弘前で21年暮らした関西人が、関西圏とはいえ、大阪とは違った土地の宝塚に住み、いわば新参者として暮らす中で、見聞きしたこと、思ったことをつれづれに書き綴って行きます。
虎列刺病って、なに? 7月14日は検疫記念日。明治期の日本の疫病との戦い
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    (虎列刺病?)

    コレラのことです。

    コレラ菌に感染すると、それが出すコレラ毒素で激しい下痢が起こります。

    そして極度の脱水状態を起こし、放置すれば死に至ります。

    治療を行わなかった場合の死亡率はアジア型では75〜80パーセントと非常に高いのです。

    ころりと死んでしまうというところから、コロリとも呼ばれて日本でも恐れられた病気です。

     

    興味深いことに、コレラ菌の存在は紀元前から知られていたのにも関わらず、パンデミック(世界的なレベルの流行)を起こし始めたのは、19世紀に入ってからのこと。その理由は世界レベルでの人の交流が起こったためとも言われますが、さだかではありませせん。

     

    コレラを残虐な死神として描いた絵(wikipedia)

     

    ドイツの細菌学者ロベルト・コッホがコレラ菌が発見(1884)。

     

     

    その後は、衛生医学の発展、防疫体制の強化などによって、アジア型コレラの世界的流行は起こらなくなりました。
    しかし、依然南アジア、アフリカでは今も流行が見られます。

     

    致死率はペストに匹敵しますが、ペスト菌と違うのは、自然界ではヒトを除いて感染しないことです。

    従って人の移動をコントロールできれば感染の拡大が防げる点は防疫の点から有利ですね。

     

    (日本での流行)

    さて、日本で初めてコレラが発生したのは、最初の世界的大流行が日本に及んだ1822年(文政5年)のこと。

    その時は九州から始まり、東海へと広がりましたが、箱根の関を越えて江戸に至ることはなかったようです。

    その理由としては、各所に設けられた関所によって旅人の動きを抑制できたことが、江戸時代を通じてその防疫を可能にした最大の要因と考えられています。

    現に1868年(明治元年)に幕府を倒した明治新政府が箱根関所を廃止すると、その後2-3年の周期で数万人程度の患者を出す流行が続いた事がそれを支持します。やはり人の移動のコントールが重要のようです。

     

    虎列刺退治の図(コレラを「虎(頭)」「狼(胴)」「狸(睾丸)」に模したもの)

    衛生隊がこの化け物に消毒薬を噴霧して退治しています。

     

    (検疫記念日)

    1879年のこの日、日本初の伝染病予防の法令「海港虎列刺病伝染予防規則」が公布されたことを記念して、1961年に厚生省(現在の厚生労働省)が制定したものです。

     

    1879年は、検疫に関して重大な事件が起こっていました。

    実は西日本でのコレラ大流行を受けて、日本当局は1879年7月に来航したドイツの汽船「ヘスペリア号」に対して検疫を要求したのです。しかし、ドイツ船は無視して出航。砲艦の護衛のもと横浜港に強行入港しました。(ヘスペリア号事件)

    その結果、この年は横浜・東京など関東地方でもコレラが大流行。

    全国で約16万8,000人が感染し、死者は1879年だけで10万400人にも達してしまいました。

     

    この事例は欧米列強との間の不平等条約にも原因があるとして、条約改正を求める機運が高まりました。

    しかし、日本が海港検疫権を獲得出来たのは、その20年の後の日英通商航海条約などの改正条約が発効した1899年のことです。

     

    船舶でコレラ患者が出ると、検疫のために40日間沖に留め置かれます。

    この船を俗に「コレラ船」と呼び、当時の俳句で夏の季語にもなるほどだったそうです。

     (月明や沖にかゝれるコレラ船 日野草城「花氷」所収)

     

    現在日本で大きな問題となっている武漢肺炎ウイルス禍

    細菌とウイルスの違いがあります。

    しかし防疫に関して、コレラの歴史にも学ぶべきことがおおいにあるように思います。

     

     

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    #コレラ #虎列刺 #ペスト #検疫記念日 #関所 #コッホ #ヘスペリア号事件 #海港虎列刺病伝染予防規則 #不平等条約#武漢肺炎ウイルス #パンデミック

     

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    | 弘前りんご | 自然科学 | 15:29 | comments(0) | - |
    これは現代のミステリー?C国の論文数躍進の影には ^^;)
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      (事の発端)

      とある薬理学系の国際誌のエディターから、そこに投稿されたある論文の査読(review レビュー)の依頼がありました。

      結構贔屓にされているのか、使いやすいと思われているのか、度々依頼があります。この一ヶ月で2度目でした ^^;)

       

      皆さん、ご存知かどうかわかりませんが、現代の科学は原著論文として発表された成果がベースになります。

      そしてその論文の発表にはピアレビュー制度による、ボランティアの科学者(その論文の内容の分野に詳しい研究者)による査読(レビュー)をパスする必要があります。

      内容がその雑誌にふさわしいレベルにあるか、目的と結果と結論の間に矛盾はないかなどをチェックし、修正可能なものなら修正を、ダメなものはリジェクト(却下)をエディターに答申するわけです。

       

      さて元の話に戻りますが、

      まあ付き合いもあるので、オンラインレビューシステムで査読をOKしようと思った瞬間、査読対象の論文原稿の番号末尾を見てあれっ?と思ったのです。

       

      雑誌によって番号の付け方はいろいろですが、末尾にR1とかR2とかつけるのはだいたい共通で、これまでは最初の投稿論文にはRは当然付かず、査読後にレビューアーから修正を要求されて、それに応えて修正したものを投稿した時にR1、再度修正を要求されて修正後投稿したものにはR2と付くわけです。Rはrevised manuscript(修正稿)を意味します。

       

      (何故、初回投稿のものにR1がついていたのか)

      ところが、今回の論文の原稿番号を見ると、初回投稿のはずなのにR1が付いているではありませんか。

      ひょっとして、初回投稿のときのレビューアーが再度のレビューを辞退したため、二度目のそれが私にお鉢が回ってきたのかと思い、エディターに問い合わせたのです。そうであれば前のレビューアーのコメントも考慮する必要があるからです。

       

      しかし、いやそうではないとの返事。

      実はと事情を話してくれたのですが、それを聴いてびっくり。

      今サイエンスの世界でも、C国がかき回していると言うのです。

      もちろん優れた、そして真面目なC国の研究者が大勢いるのは知っていますが、国としての傾向はそういう感じだというのです。

       

      (論文マシンあるいは工場の存在)

      日本を見てみると、旧帝大系とか大きな大学は潤沢な予算で大きなプロジェクト研究を回して、最新の研究テーマを扱っていますが、その一方で地方の大学は予算が格段に少なく、例えばニッチなテーマ(その時点では他が参入する注目のテーマではないもの)で頑張っています。もちろんそこから大きな研究に成長するものもあります。

       

      ところが、C国では(恐らくK国もその傾向があるらしいですが)、とにかく最先端のテーマでないと相手にされない傾向が強いようです。そのような圧力が強くなりすぎれば、一つには捏造につながることが考えられます。

       

      そして今回はもう一つのケースでした。

      2年ほど前から、C国で論文工場(企業)というのが登場し、それらはサイエンスを商売としています。

      そこで作られた論文を大学や研究所に売り渡しています。

      買い取った研究者によって(自分で研究、実験をせずに)、それらが大量に投稿されてくるようになってきているというのです。

       

      (それに対抗して)

      中にはフェイクデータもあるため、雑誌編集側では、C国からの論文は、まず主任編集者(Editor-in-Chief)が内容をチェックして、必要に応じて生データなどを求めたり、著者の組織で書かれた(in-house)論文であることを論文中に宣言(記載)させることにしたので、その場合レビューアーに来る段階で既にR1とかR2になる訳です。

       

      ところが雑誌編集者の中にも親C国派がいるらしく、C国だけを対象にそのようなチェックをするのは不公平だという意見が出て、最近は全ての国からの投稿論文に対してチェックするようになったとのことです。いやはや ^^;)

       

      モラルが伴わないと、どこまでもエスカレートするのでしょう。

      そして一部の不心得者のお陰で大勢の正直者がバカを見るのは、科学の世界でも同じかとため息が出る話でした。

       

       

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      #サイエンス #論文 #ピアレビュー制度 #C国 #論文工場 #企業 #フェイクデータ #チェックシステム #モラルなき世界 #正直者がバカを見る

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      | 弘前りんご | 自然科学 | 11:13 | comments(0) | - |
      ある意味これは、私の卒業論文?
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        (理学部の生理学から医学系の病態生理学へ)

        元々、動物あるいは細胞の生理学をやりたくて大学に入りました。

        しかし諸般の事情から、就職の時に医学系の研究室に就職。

        それからというもの、医学・薬学系の研究テーマと取り組むことに。

         

        (OPLLとの出会い)

        そうこうする内に、弘前大学医学部(現医学研究科)に異動に。

        そこで、当時の整形外科学講座の教授、故 原田征行先生からお声がけ頂きました。

        脊椎疾患の難病である、脊柱靭帯骨化症の基礎研究を一緒にやりませんかと。

         

         

        脊柱靭帯とは、脊髄が通る脊柱管の椎骨がばらばらにならないように、脊柱管を縦に走ってつないでいる靭帯です。

        脊柱靭帯骨化症は、それが何らかの原因で骨化を起こして脊髄を圧迫することでしびれや麻痺を起こす疾患です。

         

         

        当時原因も不明で、治療法も骨化部位を除去するなど、侵襲度の高い脊椎外科手術しかありませんでした。

        従って、患者さんにとってリスクが高く、生活の質(QOL)を著しく下げる難病でした。

        厚労省の指定難病になっています(https://www.nanbyou.or.jp/entry/257)。

        そこで原因解明と、それに基づく安全な薬物治療法の確立が求められていたわけです。

         

        (20年に亘る研究)

        そんな、それまでに手掛けたことのない分野と方法論。

        手探りの中、患者の方からインフォームド・コンセントを得た上で、骨化靭帯組織から細胞を単離して培養する方法を確立することから始めました。

        それから20年。いろんな方の協力を得ながら研究を進めてきました。

        その成果を評価していただいたのか、途中から文科省の科研費、厚労省の研究費もいただけるようになって、ちょっと楽になりました。

        しかし、現時点でも残念ながら完全な病因の解明までには至らずに、昨春に定年退職することになりました。

        ただ、病因のひとつとして、脊柱靭帯組織に散在する間葉系幹細胞の形質転換が原因(骨化しやすい性質に変わる)で、それを起点として組織修復時に靭帯の異所性骨化が起こることを明らかに出来たのは幸いでした。

         

        (卒業論文?)

        それらの成果を簡潔にまとめた論文が、OPLL(脊柱後縦靱帯骨化症)の本の一章(第7章)としてこの春に刊行されました。

        先日それが出版社(Springer-Nature社)から届きました。

         

         

         

         

        もちろん、治療法確立までは道半ばですが、私としてはやれることは十分にやった感がありますし、あとは若い研究者の方々にバトンタッチしたいと思います。

         

        退職後は、スイッチを切り替えて、昔からやりたいと思っていた、文化芸術関係に少しでも関われたらと思っています。

        従って、そういう意味では、この論文は私の研究者としての卒業論文に当たり、感無量でもあります。

         

         

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        #研究 #卒業論文 #後縦靭帯骨化症 #OPLL #厚労省 #指定難病 #原因解明 #薬物治療法 #卒業論文 #バトンタッチ

         

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        | 弘前りんご | 自然科学 | 05:54 | comments(0) | - |
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