弘前りんごの北のまほろば

司馬遼太郎の”街道をゆく”のタイトル”北のまほろば”に魅せられて、本州最北端の県にやってきました。日々見聞きしたこと、感じたこと、考えたことなどをつれづれなるままに綴ります。
さすが落語協会会長、高座に座っただけで (^o^)
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    駅前のヒロロで開かれるヒロロ寄席、第三回目にして落語協会会長に52歳の若さで就任した、柳亭市馬さんが登場。



    出囃子が鳴り、登場までの時間に期待が高まりました。

    さすが最年少で落語協会会長になるだけあって、高座に上がるだけ強烈なオーラが出ていました。
    そして、たっぷりの枕(これだけでも聴きに来る価値はありました)で、聴衆をすっかり市馬ワールドに引き込んでいました。
    師匠であった小さんのエピソード、小さんが好きだった相撲に絡ませたエピソード。久しぶりに大笑いさせてもらいました。

    そしていよいよ江戸落語。2題を途中休憩を入れて30分ずつ。
    まずありえないシチュエーション(長屋の八五郎と、その妹が奉公に入り、子をなした大名との、珍妙でしかし最後は泣かせる対面)を描いた”妾馬(めかんま)”。
    親に勘当され、船宿に居候する若旦那が、時間を持て余し、船頭を勤めることで起こる騒動を描いた”船徳”
    いずれも堪能しました。

     
    | 弘前りんご | 演劇 | 06:16 | comments(0) | trackbacks(0) |
    なにやら、クラシックファンには目が離せない2つの舞台: ”ホロヴィッツとの対話”と”テイキングサイド”
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      片や一時期精神疾患まで煩っていたというピアノの魔術師ホロヴィッツ、片やナチスとの関係を取りざたされるカリスマ指揮者フルトヴェングラー。それぞれを主人公とした舞台(”ホロヴィッツとの対話”と”テイキングサイド”)が話題を呼んでいるようです。



      演じる役者も強者揃い、これは楽しみな舞台ですね。

      ホロビッツとの対話の方は、天才ピアニスト、ホロビッツと彼に使える神に雇われた者(お抱えのピアノの調律師)との会話から、芸術とは、芸術家とは何かを問うといった内容のようです。

      一方、テイキングサイドは、ナチスに寵愛されたカリスマ指揮者フルトヴェングラーと、ヒトラーを憎むことから、フルトヴェングラーを法廷で執拗に追い詰めるアメリカ軍少佐アーノルドの対決から、全く相反する立場にありながら、共に自分の信じる物のために戦う人々を描く作品です。

      ただ地方にいると見ることはむつかしいので、是非テレビで放送して欲しいです。
      もっとも、生の舞台に勝るテレビ放送はないでしょうけどね。


       
      | 弘前りんご | 演劇 | 06:43 | comments(0) | trackbacks(0) |
      生の舞台の素晴らしさ_イッセー尾形
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        ”クラゲが眠るまで”という奇妙なタイトルの二人芝居のDVDに遭遇したのは今から10年以上前でした。今やアイドルから演技派の女優に見事転身した、永作博美が演じる(三十路手前ながら、高校生といっても通用する雰囲気)の若い妻の、本厄42歳の夫の役を演じていたのがイッセー尾形。彼は気弱そうでいながら、様々なことにこだわりを持つため、些細なことで二人はぶつかりながら、最後には仲直りをするという二人の関係を、面白おかしく描くシチュエーションドラマでした。
        (ただしこの作品の脚本は、長年イッセー尾形のひとり芝居の脚本を手掛けた森田雄三ではなく、通の評価が非常に高かったテレビドラマ”すいか”の木皿泉によるもの)


        (イッセー尾形と永作博美の”くらげが眠るまで” ポニーキャニオン)

        その後いくつかビデオやDVDを買うことがありましたが、ついぞ生の舞台を見るチャンスはありませんでした。しかし、数年前から盛岡で毎年公演をやっていて、今回幸い時間があったので見に出かけました。


        (イッセー尾形 ”これからの生活 2012 in 盛岡” 公式HPより)

        会場は盛岡バスセンターからほど近い、住宅街の中に立つ盛岡劇場。公民館の建物の中にあるメインホールと言えばいいでしょうか。


        幟が何ともいい雰囲気を醸し出しています。


        開催を案内する立て看板。イッセー尾形の似顔絵が礼をしています。


        開場後、開演までの間、イッセー尾形のグッズを買い求める入場者。

        いい意味でシンプルな舞台でしたね。
        まず、開始前のお願い(ケータイの電源を切るなど)は、イッセー尾形自身のアナウンス。約2時間の間に8つほどのエピソードを一人で、休憩を入れずに一気に演じきったのには驚かされました。またそれぞれのエピソードはすべて別の人物になって演じるのですが、その衣装の着替えを舞台左袖に設けたコーナーでやってしまうんですね。着替えもパフォーマンスの一つというところでしょうか。見てる方はなかなか興味深くていいですが、本人は観客の視線をその間ずっと浴びるわけで、気の休まる時間がないですね。いや、緊張が切れる方が厄介なのかもしれませんが。


        中央の白いL字型の場所が舞台。左の端にあるのが楽屋という設定。

        エピソードは、たとえば結婚式当日の夜に通夜となった初老の男であったり、相手によって態度を豹変させる、小さな水族館の切符売り場のおばあさんだったり、田舎のホテルに泊まろうとしてすったもんだする都会から来た女性であったり、就航60周年の瀬戸内航路の客船内のイベント(ウクレレを弾いてハワイアンを歌う)に登場した老歌手(なにせ就航時から歌っていて、その時40歳の遅いデビューだったという設定(笑))、商社(あるいはIT関連会社?)のイケメン社員、大手町にたどり着けない博多から来た中年の男などなど。その変わり身のはやさ、特徴の表現のうまさ。そして観客と呼吸を合わせる運びのうまさ。これがまさに生の舞台の面白さ、というところです。

        すべてを演じ終えたイッセー尾形が暗転後に再び現れて、来場のお礼のあいさつをしたのですが、それがまた爆笑の連続。いやはや、フルコースの後に結構ヘビーなデザートが出てきた感じで、生の演劇の舞台の醍醐味というものを堪能して来ました。



        | 弘前りんご | 演劇 | 00:01 | comments(2) | trackbacks(0) |
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        (弘前りんご)
        原田マハの短編小説集”モダン”は、MOMA(ニューヨーク近代美術館)を舞台にした作品集です。
        私にとって、おそらく日本人にとっても、印象深いのは、第一章”クリスティーナの世界”ではないでしょうか。
        タイトルは、同名のあのアンドリュー・ワイエスの名作から取ったもの。
        下半身麻痺の女性が、草原を這って、我が家に向かって進もうとしている光景を描いたもの。
        小説では、2011年3月11日の東日本大震災のときに、福島県立美術館にこの作品が、アンドリュー・ワイエス展のために貸し出されていて、MOMAの委員会が、作品を守るために即回収を決め、MOMAのコーディネーターの職にあった日系女性職員杏子を派遣するというストーリー。
        この作品を日本に誘致するために多大な努力を払った現地学芸員伸子と、本意は回収するには及ばないと思っても、上からの命によって福島に向かわざるを得ない杏子の心の交流を描いています。
        救いは、杏子が福島のためにワイエスの作品を近い将来、再び貸し出せるようにすると決意するところです。
        そしてそれはこの絵の、絶望的な状況にあっても、希望を捨てず前に進もうとする女性の強い意志の力に合い通じるものがあるのではないでしょうか。
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        旅屋おかえり [ 原田マハ ]
        旅屋おかえり [ 原田マハ ] (JUGEMレビュー »)
        ”旅屋おかえり”は、旅そのものが目的であり、生きがいの、そしてそれを仕事にしてしまった一人の女性の夢、挫折そして再生の物語です。

        旅屋とは、故あって自分は旅に出ることが叶わない依頼人に代わって旅をして、本人の代わりに希望の体験や目的を果たして、その旅の記録を依頼者に成果として届けるというもの。それを思い立ったのは偶然の出会いから。

        またタイトルのおかえりは、家に、故郷に戻ったときに掛けられる言葉、”おかえり” と、丘えりこの愛称、おかえりをもじったものです。そしてその言葉を聞きたくて旅に出るのです。

        旅屋の仕事としての旅によって、契約内容を遥かに超える成果(人間関係のもつれを解き、凍てつきを融かす)がもたらされるだけでなく、主人公、そしてそれを取り巻く人々の心までも癒やしてゆきます。

        そして成功するまでは故郷には帰れないと覚悟している主人公が、故郷で待つ母のおかえりという言葉を聞ける日も間もないというところで、小説は幕を閉じます。

        まさにハートウォーミングな小説。読後にじんわりと心があたたまる作品でした。
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