弘前りんごの北のまほろば

司馬遼太郎の”街道をゆく”のタイトル”北のまほろば”に魅せられて、本州最北端の県にやってきました。日々見聞きしたこと、感じたこと、考えたことなどをつれづれなるままに綴ります。
宗教は果たして、人を救えるのか? と問いたくなる映画 ”ミッション” (The Mission)
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    映画”ミッション” DVD

     

    オーボエの魅力的な旋律(ガブリエルのオーボエ)が使われているというのがきっかけで、軽い気持ちで、先日の三連休に、この映画 ”ミッション”のDVDを入手して、見てみました。作曲したのは、エンニオ・モリコーネ

     

    エンニオ・モリコーネ:ガブリエルのオーボエ

    https://www.youtube.com/watch?v=uMFzayZysLw

     

    しかし、その内容は、そんな軽い気持ちを吹き飛ばしてしまう重い内容でした。

    ストーリーはというと、

    舞台は南米のスペイン領とポルトガル領の境界に位置し、スペイン統治下のパラナ川上流域の密林に生活するグアラニー族という先住民の村。彼らは弓矢で狩りをする狩猟民達。

    そこに、スペインのイエズス会が布教に度々宣教師を送り込み、失敗を繰り返しながら、ようやく現在のガブリエル神父(ジェレミー・アイアンズ)によって、音楽という手段を用いて住民の心を掴み、ようやく布教が功を奏してきた時代でした。

     

    それまで奴隷売買に携わってきた同じスペイン人で奴隷商人メンドーサ(ロバート・デ・ニーロ)が、愛人を巡るいざこざで弟を殺害してしまい、この村に逃げてきます。

    一度は死を覚悟したけれど、宣教師に入信を勧められ、改心して宣教師の一員として活動をし、これまで彼が商品として扱ってきた住民との交流で、荒んだ心を癒やされてゆきます。

     

    しかし、そんな中で、ポルトガルとスペインの間に、大国のエゴに基づく植民地支配に関する協定が結ばれ、植民地の領界線の引き直しが行われ、それに伴って原住民を移住させる話が起こってきます。

     

    イエズス会は、両国の間に挟まれ、抵抗を試みますが、ヨーロッパでのイエズス会の布教活動に制約加えるという、両国の圧力に負け、この村の宣教師に住民の説得を命令します。


    原住民は生まれ育った土地を離れることを拒否し、宣教師団もそれを支持します。

    ガブリエル神父はあくまで信仰による抵抗のみを主張する一方、メンドーサは住民と共に戦うことを決意。

     

    しかし、弓矢しか無い原住民と、大砲まで持ち出す大国の軍ではやはり勝負にならず、村の教会は炎に燃え、メンドーサは最後に軍隊の銃弾に倒れます。

    またガブリエル神父もまた、十字架を捧げ持って軍隊に向かって行き、同じく銃弾に倒れます。

     

    銃弾に倒れた宣教師、そして改宗した住民は、殉教者として讃えられるのでしょう。

    しかし文明、そしてキリスト教との出会いが、この先住民たちにとって、はたして幸いだったのかどうか? 

    クリスチャンではない私には、難しい問題だと感じました。

     

     

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    #映画 #ミッション #ガブリエルのオーボエ #イエズス会 #布教 #南米 #スペイン #ポルトガル #先住民 #改宗 #大国のエゴ

     

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    | 弘前りんご | 映画 | 23:58 | comments(0) | trackbacks(0) |
    完璧主義者である映画監督 スタンリー・キューブリックのお眼鏡に適った? シューベルトの曲 (*^^*)
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      SF

      2001年宇宙の旅から (By William Beutler from Washinton, DC, USA - 2001 | bedroom modelUploaded by SunOfErat, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=30390552、wikipedia)

       

      映画の金字塔 ”2001年宇宙の旅”を制作した、スタンリー・キューブリック。あるいは”時計じかけのオレンジ”で、SFの新境地を拓いた彼のこだわりは尋常ではなかったようです。

       

      スタンリー・キューブリック(wikipedia)

       

      興行的には成功とは言いがたかったけれど、映画の完成度としては非常に高かった、”バリー・リンドン

      舞台は18世紀のヨーロッパ。

       

      映画 ”バリー・リンドン”より (wikiepedia)

       

      当時の照明はローソクが主なものだったので、ローソクの照明下で撮影を断行しました。

      しかし、映画用の当時のフィルムは感度が低く、そのためには明るいレンズが必要で、それを入手することから始めました。

      ところが入手できたレンズは、既存の映画用カメラのマウントとは合わず、フォーカスシステムも異なることからその改良に何ヶ月も掛けたというのです。

       

      バリー・リンドンに使われた映画撮影用カメラ

       

      そのこだわりもあって、映画は、アカデミー賞の撮影賞などに輝きました。

       

      そして、BGMに用いる音楽もこだわり抜いています。舞台であるイギリスの民謡以外は、多くは、バロック、古典の名曲を実にうまく用いています。唯一の例外は、ロマン派であるシューベルトの曲

       

      なかでも、シューベルト:ピアノ・トリオ作品100の第2楽章のアンダンテ・コン・モート

      https://www.youtube.com/watch?v=R7ixGAOwCiQ

       

      貧しい家庭から這い上がり、そして最後は没落してゆく主人公、バリー・リンドンの心境を的確に表現するには、これしかなかったと考えたようです。

       

      シューベルト晩年の、病に冒され余命わずかの中で、力を振り絞って作曲した作品ですが、運命に抗いながらも翻弄される主人公と重なるところがあったのでしょうか。

      この映画によって、この曲の人気、認知度はいやが上にも高まったことは事実でしょう。

       

      そして映画もアカデミー賞音楽賞を受賞しています。

       

       

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      #スタンリーキューブリック #2001年宇宙の旅 #時計じかけのオレンジ #バリーリンドン #シューベルト #ピアノトリオ #アンダンテコンモート

       

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      | 弘前りんご | 映画 | 23:50 | comments(0) | trackbacks(0) |
      分け合えることの幸せ_映画『しあわせのパン』
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        今放送の朝ドラで、映画『わたしをスキーに連れてって』を見て以来ファンになった原田知世さんが、かわいい素敵なお母さん役で出ていますね。その流れで、この映画をアマゾンプライムビデオで見ました (*^^*)

         

        北海道、有珠の近く、月浦という片田舎に移り住んで、カフェを営む若夫婦、水縞くんとりえさん。

        そこを舞台に、4組の家族模様を描いた映画『しあわせのパン』

         

         

        一組目は、都会の生活に疲れ、失恋の痛手を負った娘とこの地を離れたいけれどその勇気が出ない青年。

        二組目は、母が去って、父子家庭となった小学生の女の子とその父。互いにその事実に向かい合えないで苦しんでいます。

        三組目は、災害で店と娘を失ない、また妻も余命わずかという老夫婦。この地で死を迎えようとやって来ます。

         

        いずれもこのカフェ、マーニを訪れ、そこで若夫婦に迎い入れられ、出されるパンを食べるうちに癒やされて行きます。

         

        象徴的なのは、焼き立てのひとつのパンを分けあって食べること。

        そこに人と人との結びつきの幸せが宿っているんだということが伝わってきます。

         

        実は、このカフェを営んでいる若夫婦が4組目です。

        都会の生活に疲れ、2年前にこの地にやって来たのです。

        豊かで、時には厳しい自然の時の流れの中、地元の人々、そして訪れる客と交流して、彼らもまた癒やされ、生きてゆく意味を見つけます。

         

        最後、エンディング間近に、あることが明らかになります。

        ささやかな、しかしとっても素敵なサプライズ (*^^*)

         

        見終わって、ほっこりできる映画です。

         

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        #映画 #しあわせのパン #有珠 #月浦 #カフェ #コーヒー #カンパニオ #原田知世 #大泉洋

         

        | 弘前りんご | 映画 | 06:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
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        (弘前りんご)
        原田マハの短編小説集”モダン”は、MOMA(ニューヨーク近代美術館)を舞台にした作品集です。
        私にとって、おそらく日本人にとっても、印象深いのは、第一章”クリスティーナの世界”ではないでしょうか。
        タイトルは、同名のあのアンドリュー・ワイエスの名作から取ったもの。
        下半身麻痺の女性が、草原を這って、我が家に向かって進もうとしている光景を描いたもの。
        小説では、2011年3月11日の東日本大震災のときに、福島県立美術館にこの作品が、アンドリュー・ワイエス展のために貸し出されていて、MOMAの委員会が、作品を守るために即回収を決め、MOMAのコーディネーターの職にあった日系女性職員杏子を派遣するというストーリー。
        この作品を日本に誘致するために多大な努力を払った現地学芸員伸子と、本意は回収するには及ばないと思っても、上からの命によって福島に向かわざるを得ない杏子の心の交流を描いています。
        救いは、杏子が福島のためにワイエスの作品を近い将来、再び貸し出せるようにすると決意するところです。
        そしてそれはこの絵の、絶望的な状況にあっても、希望を捨てず前に進もうとする女性の強い意志の力に合い通じるものがあるのではないでしょうか。
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        まぐだら屋のマリア (幻冬舎文庫)
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        原田 マハ
        この"まぐだら屋のマリア"は、作品のタイトルから想像されるように、新約聖書の様々なエピソードにインスパイアされて書かれた作品ではないかと思います。

        登場人物のいくつかの名前も、明らかに聖書の登場人物から取っています。

        たとえば、東京の高級料亭の調理人見習いである、主人公 紫紋(イエスの第一の弟子で、初代教皇となったシモン・ペテロから)。

        そしてヒロイン、マリア(本名:有馬りあ、彼女の食堂の客からの呼び名。聖母マリアではなく、おそらくイエスに付き従い、ゴルゴダの丘の処刑に接し、その後の復活も目にした、マグダラのマリア)。

        紫紋も、そして尽果(つきはて)と言う、かろうじて、バスだけは来る、これ以上はない辺境の地に、まぐだら屋と言う食堂を切り盛りするマリアも、共に罪深い過去を持っています。その過去から逃れるため、死に場所を求めて、紫紋はこの尽果にたどり着きます。そしてマリアもまた、自身の贖罪のためにここにやってきた過去を持ちます。

        その二人が天の配剤のごとくに出会い、一緒に食堂を営み、人々に食べる喜びを提供することで、二人もまた最後には再生してゆきます。それは罪が消えるわけではなく、忘れようとして忘れられず、もがいて来たものを、あるがままに受け入れると言う気持ちになったことによってでした。

        原田マハの作品は、美術を題材にした斬新な作品群によって、注目を浴びてきましたが、それ以外にも多彩なカテゴリーの作品を描いています。

        このまぐだら屋のマリアは、たとえば、

        ”本日はお日柄もよく”(http://kitamahokif.jugem.jp/?eid=1940)や、

        ”旅屋おかえり”(http://kitamahokif.jugem.jp/?eid=2615)

        のような、美術にテーマを置いていない一連の作品群に分類されるかと思います。

        いずれにしても、原田マハの多彩な作風に魅了されますね。
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        旅屋おかえり [ 原田マハ ]
        旅屋おかえり [ 原田マハ ] (JUGEMレビュー »)
        ”旅屋おかえり”は、旅そのものが目的であり、生きがいの、そしてそれを仕事にしてしまった一人の女性の夢、挫折そして再生の物語です。

        旅屋とは、故あって自分は旅に出ることが叶わない依頼人に代わって旅をして、本人の代わりに希望の体験や目的を果たして、その旅の記録を依頼者に成果として届けるというもの。それを思い立ったのは偶然の出会いから。

        またタイトルのおかえりは、家に、故郷に戻ったときに掛けられる言葉、”おかえり” と、丘えりこの愛称、おかえりをもじったものです。そしてその言葉を聞きたくて旅に出るのです。

        旅屋の仕事としての旅によって、契約内容を遥かに超える成果(人間関係のもつれを解き、凍てつきを融かす)がもたらされるだけでなく、主人公、そしてそれを取り巻く人々の心までも癒やしてゆきます。

        そして成功するまでは故郷には帰れないと覚悟している主人公が、故郷で待つ母のおかえりという言葉を聞ける日も間もないというところで、小説は幕を閉じます。

        まさにハートウォーミングな小説。読後にじんわりと心があたたまる作品でした。
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