弘前りんごの北のまほろば

司馬遼太郎の”街道をゆく”のタイトル”北のまほろば”に魅せられて、本州最北端の県にやってきました。日々見聞きしたこと、感じたこと、考えたことなどをつれづれなるままに綴ります。写真、音楽、そして本好き(万葉集)なアラ還です。
仏像の解説書がこんなに面白くて委員会?(^_^;) _ ”ミズノ先生の 仏像のみかた”(講談社 刊)
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    例えば、日本人の顔はここ数十年で大きく変わったと言われます。

    これは、私が教養の学生対象に行っていた講義で使った図なんですが、

     

     

    たった50年で、平均的な顔の輪郭が変わったことを示しています。

    理由は、一つには食生活変化で、普段の食べ物から硬いものが減ったために、顎の咀嚼力が減少し、顎を動かす筋肉だけでなく、

    顎そのものが小さくなってきたためと考えられます。

     

    それによって起こることは、顎の急激な退化に対して歯のサイズは急には変化しないので、小さな顎から歯があふれる、いわゆる八重歯、歯並びの悪さが起こりました。

     

    このまま行くと、いずれ、

     

     

    こんな顔になってしまうのではないか?

    あながち、昔の火星人の想像図は、的外れではなかったのではないでしょうか (^_^;)

     

    ちょっと枕が長くなりましたが、今日は仏像の話。その仏像の顔も時代と共に変遷していったんですね。

     

    神や仏とはいえ、人が像を作るとき、人の形に基づいて作ります。

    当然作者が目にする人の顔貌が反映されます。古代ギリシャの像は、鼻筋が高く、顔も立体的。

    それはコーカソイド(白人人種、ヨーロッパ人種)である自分たちの顔がそうだったから。

     

    ヘレニズム時代の像 (wikipedia By Giovanni Dall'Orto - 投稿者自身による作品, Attribution, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=15151267)

     

    一方、秦の始皇帝の墓から見つかった兵馬俑の人の顔は、まさにモンゴロイド(アジア人種)の顔そのものです。鼻筋は低く、顔も平板。

     

    兵馬俑(wikipedia)

     

    中高生の頃、美術や歴史でみた仏像が、インドと、中国、そして日本でずいぶんと違うなあと、漠然と感じていたのですが、上述のことから考えれば(作られた場所と作者を考えれば)、違って当然だったんですよね。

    インドはコーカソイドなので、鼻筋が高い。だからガンダーラで見つかる仏像は、鼻筋が高く通ったお顔です。顔もとても立体的。

     

    ガンダーラ仏(紀元2世紀ころのもの、wikipedia)

     

    一方、仏教が中国に伝来すると、作者も変わりモンゴロイドとなって、平板なアジア人の顔に近づいたものになります。

    ところが、面白いことに、時期的に多少の変動はあったものの、顔の平板化に対して、鼻筋だけはコーカソイドの高さをかなり保ったものになっています。

     

    5世紀頃、北魏の雲崗の石仏(wikipedia、By Felix Andrews (Floybix) - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1111174)

     

    時代が下って、日本の例えば鎌倉仏を見ると、悟りを開いた如来や、それに近づきつつある菩薩は、鼻筋が高い。

     

    運慶作 仏頭(wikipedia)

     

    一方、それらに比べると人に近い、天部や明王は鼻筋が低く、モンゴロイドの顔貌に近づいています。

     

    八部衆の一つ、阿修羅像(興福寺)(wikipedia)

     

    きっと、鼻筋を低くすると、如来や菩薩の尊厳が失われると感じた作者が、そこだけはコーカソイドの伝統に従ったのではないかと言われています。

     

    こういった仏像の見方を、聞き手との対話形式で、平易な言葉で、しかし内容は実に濃く、高度なものとして、紹介している本が、最近上梓されました。

     

    ミズノ先生の仏像のみかた”(講談社)

     

    まさに目からウロコの思いがしました。

     

     

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    #仏像 #みかた #水野敬三郎 #講談社 #新刊 #鼻筋 #コーカソイド #モンゴロイド  

     

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    今日12月4日は、聖バルバラの日!
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      ヤン・ファン・エイク 聖女バルバラ(1437年 wikipedia)

       

      キリスト教が禁教であった古代ローマ時代

      古代トルコの都市、ニコメディアの裕福な家の娘として生まれたバルバラは、その美貌のため、言い寄る男がたくさんいました。

       

      娘の純潔を守ろうと、父親は娘を高い塔の上の部屋で生活させます。

      その幽閉生活の中で、キリスト教徒だった侍女から影響を受けて、バルバラはキリスト教に目覚めます。
      そして、その部屋に浴室を作ることになった際、バルバラは2つあった窓を3つに作り変えさせました。
      ヤン・ファン・エイクの絵は、聖書を読む彼女の背後にその塔と3つの窓を描いて、彼女をたたえています。
      その窓の意味がキリスト教の教えの三位一体だと知った非キリスト教徒だった父親は、異教の教えに染まったとして激怒、娘を手に掛けようとしました。

       

      しかし、その度、神の力によって救われたバルバラでしたが、最後まで信仰を捨てなかった彼女は、ついに父親らによって処刑されてしまいます。

      処刑される直前、桜桃のつぼみを折って壺に生けておいたところ、処刑の日(12月4日)に美しい花を咲かせたとも言われています。一方、父親はその後雷に打たれて死んでしまいました。

       

      その揺るぎない信仰と尊い行いによって、バルバラは聖人の列に加えられました。

      そして殉教の日、12月4日を聖バルバラの日と定められた次第です。

       

      因みに、アメリカ合衆国のカルフォルニア州にあるサンタ・バーバラとは、聖バルバラから来た名前ですね。

       

       

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      #12月4日 #聖バルバラ #キリスト信仰 #聖人 #サンタ・バーバラ

       

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      紅葉の名所、だけじゃない! _ 石田三成の次男(重成)の子孫の菩提寺が、赤門 宗徳寺。
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        弘前藩の藩祖、津軽為信は、仕えていた南部藩の上司を討ち、豊臣秀吉にいち早く安堵してもらうことで、独立を果たしました。

        その際、石田三成に取りなしてもらったことから、彼に大変恩義を感じていたようです。

        自身も豊臣臣下と事ある毎に書き知るし、また話していたとのことです。

         

        そんな三成が関ヶ原の合戦で敗れると、三成の次男(石田重成)を弘前に逃し、匿いました。

        しかし、石田姓では存在が発覚する恐れが大きく、杉山源吾と名を改めさせ、弘前藩で家臣として取り立てました。

        そして彼の子は、弘前藩の中で家老職に就くほど大いに出世し、その子孫も長らく弘前で暮らしていました。

         

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        その杉山家と、源吾の墓が、弘前に置ける紅葉の名所、禅林街赤門、宗徳寺の墓域内にあります。

         

        杉山家の墓群

         

        最初は身分(三成の子孫)を隠しての生活だったようですが、江戸時代も中頃をすぎると、その墓石にも、堂々と豊臣家臣と刻まれるようになりました。

         

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        杉山源吾とその妻の墓は、ひっそりとその奥の墓域に立っています。

         

        DSC08097.jpg

         

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        10M06720.jpg

         

        紅葉の名所として注目される宗徳寺ですが、そのもみじの華やかさの裏には、歴史の重みがあったんですね。

        其の辺の事情などは、例えば葉室麟の ”津軽双花” を読んで見られることをおすすめします。

         

         

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        #石田三成 #豊臣秀吉 #津軽為信 #関ヶ原の合戦 #弘前藩 #杉山源吾 #宗徳寺 #菩提寺 #葉室麟 #津軽双花

         

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        (弘前りんご)
        原田マハの短編小説集”モダン”は、MOMA(ニューヨーク近代美術館)を舞台にした作品集です。
        私にとって、おそらく日本人にとっても、印象深いのは、第一章”クリスティーナの世界”ではないでしょうか。
        タイトルは、同名のあのアンドリュー・ワイエスの名作から取ったもの。
        下半身麻痺の女性が、草原を這って、我が家に向かって進もうとしている光景を描いたもの。
        小説では、2011年3月11日の東日本大震災のときに、福島県立美術館にこの作品が、アンドリュー・ワイエス展のために貸し出されていて、MOMAの委員会が、作品を守るために即回収を決め、MOMAのコーディネーターの職にあった日系女性職員杏子を派遣するというストーリー。
        この作品を日本に誘致するために多大な努力を払った現地学芸員伸子と、本意は回収するには及ばないと思っても、上からの命によって福島に向かわざるを得ない杏子の心の交流を描いています。
        救いは、杏子が福島のためにワイエスの作品を近い将来、再び貸し出せるようにすると決意するところです。
        そしてそれはこの絵の、絶望的な状況にあっても、希望を捨てず前に進もうとする女性の強い意志の力に合い通じるものがあるのではないでしょうか。
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        まぐだら屋のマリア (幻冬舎文庫)
        まぐだら屋のマリア (幻冬舎文庫) (JUGEMレビュー »)
        原田 マハ
        この"まぐだら屋のマリア"は、作品のタイトルから想像されるように、新約聖書の様々なエピソードにインスパイアされて書かれた作品ではないかと思います。

        登場人物のいくつかの名前も、明らかに聖書の登場人物から取っています。

        たとえば、東京の高級料亭の調理人見習いである、主人公 紫紋(イエスの第一の弟子で、初代教皇となったシモン・ペテロから)。

        そしてヒロイン、マリア(本名:有馬りあ、彼女の食堂の客からの呼び名。聖母マリアではなく、おそらくイエスに付き従い、ゴルゴダの丘の処刑に接し、その後の復活も目にした、マグダラのマリア)。

        紫紋も、そして尽果(つきはて)と言う、かろうじて、バスだけは来る、これ以上はない辺境の地に、まぐだら屋と言う食堂を切り盛りするマリアも、共に罪深い過去を持っています。その過去から逃れるため、死に場所を求めて、紫紋はこの尽果にたどり着きます。そしてマリアもまた、自身の贖罪のためにここにやってきた過去を持ちます。

        その二人が天の配剤のごとくに出会い、一緒に食堂を営み、人々に食べる喜びを提供することで、二人もまた最後には再生してゆきます。それは罪が消えるわけではなく、忘れようとして忘れられず、もがいて来たものを、あるがままに受け入れると言う気持ちになったことによってでした。

        原田マハの作品は、美術を題材にした斬新な作品群によって、注目を浴びてきましたが、それ以外にも多彩なカテゴリーの作品を描いています。

        このまぐだら屋のマリアは、たとえば、

        ”本日はお日柄もよく”(http://kitamahokif.jugem.jp/?eid=1940)や、

        ”旅屋おかえり”(http://kitamahokif.jugem.jp/?eid=2615)

        のような、美術にテーマを置いていない一連の作品群に分類されるかと思います。

        いずれにしても、原田マハの多彩な作風に魅了されますね。
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        旅屋おかえり [ 原田マハ ]
        旅屋おかえり [ 原田マハ ] (JUGEMレビュー »)
        ”旅屋おかえり”は、旅そのものが目的であり、生きがいの、そしてそれを仕事にしてしまった一人の女性の夢、挫折そして再生の物語です。

        旅屋とは、故あって自分は旅に出ることが叶わない依頼人に代わって旅をして、本人の代わりに希望の体験や目的を果たして、その旅の記録を依頼者に成果として届けるというもの。それを思い立ったのは偶然の出会いから。

        またタイトルのおかえりは、家に、故郷に戻ったときに掛けられる言葉、”おかえり” と、丘えりこの愛称、おかえりをもじったものです。そしてその言葉を聞きたくて旅に出るのです。

        旅屋の仕事としての旅によって、契約内容を遥かに超える成果(人間関係のもつれを解き、凍てつきを融かす)がもたらされるだけでなく、主人公、そしてそれを取り巻く人々の心までも癒やしてゆきます。

        そして成功するまでは故郷には帰れないと覚悟している主人公が、故郷で待つ母のおかえりという言葉を聞ける日も間もないというところで、小説は幕を閉じます。

        まさにハートウォーミングな小説。読後にじんわりと心があたたまる作品でした。
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